言葉以外のものから
何かを感じ取っていた
空気の変化
表情の微細なズレ
その場の温度
そういったものから
いま何が起きているのか
その人が
どんな種類の感情を
抱いているのか
繊細に
感じ取ってしまう
人混みや
集団は苦手だった
自分の中に
自分以外の人間の感情が
入ってくる
だから
この敏感さで
苦労することも多かった
わたしは
人と関わらない方がいい人間なのだと
この性質をずっと
マイナスなものだと思っていた
でも
自分のこの感覚の鋭さは
癖ではなく
能力なのだと
肯定できるようになった
それは
生まれ持った特別なものではなく
生きてきた中で
鍛え磨かれてきたもの
これまでずっと
不思議に感じていたことがあった
自分が心を許して接する人と
そうでない人の違い
わたしは
軽口の会話はできないけれど
自分から
声をかけるほうだ
でも
特定の誰かに固執することは
あまりない
その場に合わせて
形を変える
そんな風に
あまり
距離を近付けすぎない
わたしだけれど
心を許した人には
たとえ初対面だとしても
自分の内面を
ためらわずに見せる場合がある
でも
無理な人には
長い付き合いであっても
一定の緊張感があって
それが解かれることはない
この違いは
なんなのか
それは
誠実にわたしと
向き合ってくれているかどうか
状況や何かを盾にして
自分の責任から逃げている人
この人たちには
わたしは
警戒心を解くことができない
反対に
同じ状況であっても
言い訳しないで
自分にできることを
示してくれる人
その人たちには
わたしは
瞬時に心を開いている
結果の良し悪しは
重要じゃない
大切なのは
自分がいま
どんな状況にあっても
それを盾にせず
わたしと向き合ってくれようとする
姿勢があるかどうか
ここで
わたしは見ていた
それは
言葉からの場合もあるけれど
ほとんどは
表情や
空気
視線
こちらから
感じ取っていることの方が多い
わたしの
この感じ取る力は
自分にとって安全な人か
そうでない人かを
瞬時に判断する
センサーだった
自分では
気が付いていなかったけれど
わたしは
わたし自身に
ずっと
守られてきていた

