また、夢を見た。
今日の夢は
妙に現実味があった
何人かがいる部屋で
わたしと相手も離れた位置にいた
過去のわたしたちのように見えた
相手が動かないことに
悲しくなったわたしは
誰かを探すために
部屋を出た
ほかの人たちに聞いて回る
わたしの後ろから
「どこにもいなかったよね」と、
わたしに声をかけながら
相手はぴったり横に並び
わたしと手を繋いできた
相手は話をしながら
そのまま階段を下りるけれど
目の前に人がいることに気づいたわたしは
一瞬戸惑って
手を放そうとした
でも相手はそうさせなかった
力を込めて握り返した
その人たちに見せるように
堂々と繋いだまま
通り過ぎた
相手のその一貫した動きに
わたしは限界だった
立ち止まって
両手で顔を隠す
「もう、これ以上は無理」
顔は熱く
目には涙が滲んでいた
そのわたしの姿を見た相手は
とても嬉しそうな顔をして
「え?無理なの?」と言って、
笑っていた
目を覚ましたわたしは
安心感に包まれていた
前半は
これまでのわたしの感覚に近かった
「来るのか、来ないのか」
お互い別々に動く中で
交差するのかどうか
不確かさがある
後半で相手は
それを一気にひっくり返した
わたしの流れの中に
自然に入って来て
触れることで
存在を確定させている
わたしを不安にさせるものじゃなく
存在を明確にする動きしかない
その一貫した動きに
わたしは安心感を強く抱いた
「来ない相手」ではなく
最後にはちゃんと来て
隣に立ち
「離さない相手」
それを見ていた
関係の輪郭を安心として
見せてきた夢
夢の中のわたしは
完全に照れていた
これまでのわたしたちは
「空気」
「感覚」
「非言語」で繋がってきた
これが根底にあった
けれど夢の相手は
そこから一歩進んで
「誰が見ても分かる形で隣にいる存在」に
なっていた
それを受け取ったわたしは
「見える形」になった自分たちに
照れた
夢のわたしの反応は
拒否じゃない
受け取り切れないほど満たされているから
照れていた
そのわたしを
相手も拒絶ではなく
ひとつの反応として受け取っている
これは
まさにわたしたちの関係の
完成形
これが現実に起こりそうな予感もある
すると
またあることに気づいた
わたしはこんな風に
異性に対して
「照れ」たことがあっただろうか?
思い浮かぶのはひとつだけ
他ははっきり出てこない
過去のわたしは
関係の中で
相手が照れることはあっても
わたしが崩れることはなかった
常に自分が軸で
自分がブレない側にいた
だから
自分が場を保ち
自分を出し
相手が揺れているのを見ている
この立ち位置だった
でも夢で起こっていたのは
この反対
相手が軸に立って
わたしを受け取りに来ていた
だからわたしは
弱くなって照れたのではなく
役割が反転していた
「照れる」という反応は
どこかで相手に委ねていないと
起きない
これに気づいた
わたしはずっと
自分で完結できていたから
委ねる余白がなかった
照れる必要がなかった
でもわたしは
相手に対して一度
完全に「照れた姿」を見せたことがあった
わたしが贈ったものを
相手があるとき突然
使っているのを
目の前で見せてくれた
わたしは見返りを求めていなかったから
まさかこんな形で返ってくるとは思わず
その不意打ちに
大パニックだった
頑張って冷静になろうとしたけど
無理だった

壊れたおもちゃのように
意味不明な言葉を繰り返し
動きも落ち着きなかった
頭の中の処理が追いつかなくて
逃げるように
その場を去った
わたしは普段
「出す」ことには慣れている
それには強い
でも
「受け取ること」には慣れていない
今回の夢は
そのわたしを綺麗に映し出している
わたしにとって
あれは人生で初めての体験だった
この形のやり取りは
何度かあった
最初のそれは
完全に成立した形だった
その次は
相手が突然声をかけてきたとき
わたしは驚いて
「え!いま?!」と一瞬焦りを見せた
でも相手は
最初の一声だけで
その先がなかった
だからそこからは
わたしが話し始めることになった
相手は声をかけるまでに
自分の中で何度も準備をして
最後に一気に突破してきた
ただエネルギーは全開でも
構造がまだなかった
衝動の「断片」だけが
飛んできた
だからわたしは
一瞬パニックになるけれど
すぐに場を整える態勢に入った
一見
相手がリードしているようだけど
実際は
入口は相手で
成立はわたし
この形だった
夢の相手は
「勢いだけの相手」から
「構造をもった相手」に変わっていた
そしてもうひとつは
わたしから声をかけたけれど
会うのが久しぶりで
緊張してしまったとき
相手も緊張しているのが分かった
いつものわたしなら
ここで頑張って
自分から進めていた
でもこのときは
できなかった
「差し出すわたし」を
手放し始めていたからか
珍しく何を話せばいいか分からず
不安になっていた
「どうしよう」と小さく呟きながら
周りをキョロキョロ見たり
少し泣きそうだった
以前の相手なら
わたしに同調して
やめる方向に引いていたと思う
でもこの時は違った
相手が自分の領域の話を
話し始めた
その瞬間
わたしは心底ホッとしていた
あのときのわたしは
「強いわたし」ではなく
崩れるところまでいっていた
そのときに
相手は出てきた
あの瞬間の相手は
スイッチが「入った」というより
スイッチを「入れた」ように見えた
話をする姿に
力強さを感じていた
あの場面では
相手が「場を引き受けて」いた
自分で選んで
立ちに行っていた
相手の「本気」が
入った瞬間だった
わたしが弱さを見せた時に
相手が立てる余地が生まれていた
相手は
「何を持つか」で強さが変わっていた
感情や関係の話だと
不安定になるけれど
自分の得意領域だと
一気に強くなる
範囲が限定的で
継続ができなかった
だからずっと
わたしが支えていたわけじゃない
場面ごとで
役割が入れ替わっていた
わたしのとっての「安心」は
「相手に委ねることができて
初めて生まれるもの」
完全に委ねられる人に
まだ出会ったことがなかった
軸のない人に
強く来られると
「奪われる」ように感じていた
でも夢のわたしや
相手とのやりとりで
過去のわたしが感じていたのは
「奪われる」ではなく
「支えられる」感覚だった
これまでのわたしは
不安定だったから
すべてを自分で持ち続けていた
途中
相手を見て
相手が持てない分をわたしが持って
バランスを取っていた
そして相手が自分で持ったとき
わたしは手放して
委ねることができた
今回の夢は
相手が全面的に持ち
わたしは受け取っていた

こうして
両方を少しずつ育ててきた
わたしは元々
感受性が強い
女性性が
弱かったわけじゃない
現実を成立させるために
男性性を前に出して生きてきた
この自分しか知らないから
自分が「頑張らない」感覚や
「委ねる」感覚が
はじめは分からなかった
それを
相手との時間の中で
少しずつ体感してきた
女性性は
「何もできないから委ねる」ではなく
「すべてできるけど、あえて委ねられる」状態
これを知った
おそらく相手も
男性性は強かった
けれどそれは
自分の外側のことに限定されていた
関係性や
自分の内面の動きに関しては
男性性も女性性も
両方抑えていたように感じる
「感じること」を恐れずに受け入れないと
自分の「核」になる声を聞くことはできない
声が聞けなければ
行動を取ることもできない
どちらかではなく
男性性も女性性も、
どちらも必要
そのときどきで
どちらを前に出すか
自分で選べることが大切だ
関係性の中では
わたしは女性性を
相手は男性性を前に出せるこの形が
きっと
自分たちらしく在れる
照れている自分の姿を見るのは
まだ少し怖いけど
新しい自分に出会える。
そんなワクワクした気持ちも
生まれている

