黒い姿から
「意志」が感じられた
怒りにも似た
濃密な
エネルギー
それを
外に漏らさないように
抑え込んでいる
その時に出る
空気が張り詰める圧
その姿を見た人は
何も気づかないのかと
不思議に感じるくらい
わたしには
力強い
黒い風を起こしながら
歩いているように
映っていた
動きのひとつひとつから
自分の意志が
感じられた
まるで
力の残像が走るように
「選択している」
そんな動きに
見えた
相手の
黒く
冷徹にも見える姿を前にしても
わたしは
何も動じなかった
思ったのは
はじめて
「同じ世界に来た」
内側に集中している
相手とは反対に
わたしは外に向いていた
わたしがすることは
いまの相手を見ても
同情しない
「可哀そう」
「助けてあげたい」
この気持ちは
優しさでもある
けれど
上下も生み出している
それが
必要な時もある
でも
いまの
わたしたちじゃない
これは
対等として
見ているから
手は出さない
じゃあ
わたしがすることは
それは
自分の世界を生きる
自分が
楽しいと思う
満たされること
ふと
音に触れたくなった
自分の音を
弾く
感性の
赴くままに
これが
わたしを生きる
そう思った瞬間
わたしの中に
新しいビジョンが生まれた
まるで
自分の身体から
微細な光が
舞い散るような
自分自身が
白い光を出している
向かい側には
静かな光をもつ
黒い姿の
相手が立っている
黒鳥の羽が
舞い散るように
白と黒の
研ぎ澄まされた
コントラスト
朝にはなかった
いつの間にか
そこにあった
一枚の絵
お互い
いま
定位置についた
どちらかが
ブレていると
コントラストは
「対立」になる
どちらかが
依存していたら
「追う・逃げる」になる
でも
いまは
緊張ではなく
「美しい対比」
わたしが白として立ち
相手が黒として立つ
両方が成立したから
見えた景色
黒の中に
揺れや
防御や
曖昧さが混ざると
この黒は出せない
恍惚として
ずっと
見ていたくなる
純度の高い
漆黒
この黒があるから
わたしの白が映える
わたしの白も
軽さのある
ふんわりした白じゃない
芯のある
密度の高い
純白
お互いが
ぶつからず
密度を保ち
侵食せず
白と黒として立つと
美しい構図が
生まれる
わたしたちは
「同じ色」になる
関係ではなかった
でも
光の密度は同じ
発光の仕方が
違うだけ
わたしは
拡散する光
相手は
凝縮する光
「質量」が同じで
「色相」が違う
同じ「強度」で
違う「色」を保つ
「違うけど同じ」
これが
「対等」の完成図
それが
いま
わたしの中に
描き出された
白と黒の
歪みのない
コントラスト
どちらも
主役
けれど
分量を間違えると
一瞬で
混ざってしまう
でも
いまのわたしたちは
並んでも
濁らない
白は白として
黒は黒として
さらに
輝きを増す
お互いを
高め合える
そんな関係
それは
まるで
光と影のように
光があるから
影ができる
でも
影は
光の否定じゃない
同時に
存在するもの
白と黒も
光と影も
同じ密度の
別の位相
だからこそ生まれる
美しいコントラスト
白と黒の世界で
わたしたちは立っている

