「扉の向こう」

その人たちを見ていると

わたしの中で

ずっと眠っていた

何かが

呼び起される

感覚があった

何かは

分からない

でも

奥深い部分に

あるもの

それが

反応している

わたしが

相手と

接点を持つようになると

その人の敵意は

強まっていった

やがて

「その人」から

「その人たち」へと

変わっていく

わたしは

「排除されるもの」

として扱われていた

自分たちの輪に

迎え入れられない存在

それが

言葉や

空気

表情などから

ひしひしと

伝わってきていた

相手のいるその輪に

入れない自分

いつも

胸が痛んでいた

強く

心が揺さぶられる

きっと

普通なら

この感情を

「嫉妬」だと

判断するのだろう

馴れ合っている

その光景に

心が反応していたから

でも

わたしの中で

「それだけはない」

と断言できていた

それは

過去に

自分が病んだ時

「嫉妬」の症状で

苦しんでいたからでもある

嫉妬に支配された人間が

どうなるのかを

実際に体験しているから

でも

それ以上に

どれだけ見せつけられても

相手が

その人に傾かないと

分かっていた

もしも

傾いてしまうのなら

相手は

「その程度」の

人間だったことになり

わたしの心が

動くこともなくなる

わたしの中で

ここが明確だった

だから

この感情の揺れは

嫉妬じゃない

なぜなら

わたしにとっての

「嫉妬」は

自分と

「対等である」と

認めた相手にだけ

起きるものだから

それは

「ライバル」

といえる

そのときのわたしにとって

その人たちは

すでに

同等の存在ではなかった

はっきりと

明確な答えが

出ていたわけじゃない

でも

わたしの中で

二年前の

その人を正当化する気持ちは

なくなっていた

どうすればいいのかも

このすっきりしない

気持ちの正体も

分からない

ただ

自分がされていることと

同じことは返さない

けれどそれは

自分を卑下しているから

じゃない

はっきり

分かっているのは

「この人たちと同じ土俵には

 絶対に上がらない」

この言葉を

ずっと繰り返していた

自分の中にある

この感情が

嫉妬でないのなら

一体何なのか

そう考えた瞬間

わたしの

目の前の景色が変わった

その人たちの姿の奥に

中学生の

自分の姿があった

自分の中で

ずっと

反応していた場所

その部分に

あったもの

わたしは

中学生の自分を

見つけた

直感で

分かった

これと

向き合わないといけない

この先に

わたしが

行くべき場所がある

ただ

痛みを伴うことも

予感していた

触れたくない

奥深い部分

怖い

でも

扉を見つけてしまった

自分のことを

よくわかっている

どれほど怖くても

もう

止められない

自分に必要なことだと

分かっているから

わたしは

ためらうことなく

扉を開けて

一歩を踏み出した

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