「並んだ景色」

自分の

本当の望み

ずっと

見えない棚の奥へ

追いやられていた

わたしは

その存在に

ほとんど

気づいていなかった

自分が本当は

何を望んでいたのか

「どうして

 知らなかったの?」

どうしてだろうね

でもきっと

それを知っても

大丈夫な自分では

なかったからかな

「今は大丈夫なの?」

そうだね

いまのわたしは

何を知っても平気かな

だからこうして

出てきたんだと思うの

受け止めることが

できるから

「どんな望みなの?」

わたしはね

確かにずっと

ひとりで

生きてきたんだけど

けっして誰からも

愛されなかった

わけじゃないの

愛を知らない

わけじゃない

大切にも

されてきた

でもわたしは

相手を

緊張させてしまう

存在でもあったみたい

だから自然に

近寄ってきてもらえない

それは

嬉しくもあるけれど

同時に

寂しさもあった

相手の

緊張や焦りを

感じ取ってしまうと

わたしの中で

スイッチが入ってしまう

“これ以上

無理はさせられない”

そして

全部自分が

引き受けてしまう

その流れは

もう

始まっていた

だから

愛されているのに

安心して

甘えられない

そばにいるのに

孤独を感じる

そのループに

はまっていく

だからね

“自然に

接してもらうこと”

それが

わたしの望み

わたしの

スイッチが

入らない

関係がいい

時間を気にせず

お互いのことを

語り合うとか

行き先を決めずに

気の向くまま

どこかに向かうとか

地面に寝転んで

星を見るとか

一緒に新しいことを

始めてみたり

お互いの

世界を尊重して

でも

共有もできる

“誰かと一緒に

何かをすること”

きっと、これは

普通のことでしょう?

でも、わたしは

やったことがないの

みんなの

“当たり前”が

わたしにとっての

“特別”

わたしの憧れ

恋人のようで

友人のようで

同志のようで

ライバルのような

わたしが

求めていたのは

そんな関係

だったみたい

ずっと

見えないところに

置かれて

いたけど

自分ひとりで

やってこれて

しまったから

それ以上を

望む理由が

自分でも

見えにくかった

でもこれが

わたしの

望みだった

なんだか、

とても寂しい人

みたいだけど

ずっと

ひとりで

生きてきたから

誰かと

同じ時間を

共有する

同じペースで

一緒に歩く

同じ方向を

みている誰かと

横に並んでいる

光景を

見てみたい

だって

知らないから

子供みたい

だけど

そんな

好奇心が

出てきてしまった

だからね

誰かと並んで

一緒に

何かをするって

当たり前じゃ

ないんだよ

それは本当に

すごいこと

尊いこと、なんだよ

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