「原石の声」

形が変わると

なかなか

見つけられない

「見たくないもの」

だったから

自分の目の前から

いなくなって

安心する

でも

本当にそう?

視界は

すっきりしたけど

胸には

ひとつ

何かしこりが増えている

少しずつ

重みを増していく

量も重さも

これ以上

抱えきれないくらいになると

ようやく

その存在に

気付くことができる

もう

木の下は

石で

埋め尽くされている

重い

灰色の世界

こんなに

たくさんの石を

抱えて生きてきた

苦しいはずだよ

石たちが

呼んでいる

「自分の場所へ還りたい」

そう

言っている

本当は

ずっと

呼ばれていた

硬くて重い

灰色になっても

「わたしはここにいるよ」

ずっと

声をあげ続けていた

この石たちは

汚れた

醜いものじゃない

捨て去りたかったものも

あるかもしれない

でも

捨てきれなかったから

いま

ここにある

だから

「いらないもの」

じゃないんだよ

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