「漆黒の青」

水面の揺れが

平らになる

その一瞬

そこにある静寂

風も音も光もない

身動きがとれない

暗闇じゃない

それは

“漆黒の青”

深い

奥深くに

触れるような

透明感のある

深く

澄んだ色

わたしの内側には

そんな世界が

存在している

いつでも

現れるわけじゃない

自分が

“整っているとき”

その瞬間しか

わたしも

触れることができない

とても静かで

神秘的な場所

それがいま

また現れた

静かな

水面とともに

実体をもった水に

手で触れるような

そんな質感

目の前に

細かく波打つ水の

ビジョンが

浮かんでいる

かすかな

静かに

聞こえる音と一緒に

何かが起こりそうな

予感とか

嵐の前の静けさ

のようなものじゃない

流れ出す前の

一歩手前のところ

水面も空気も

完全に静止した

その瞬間

それがいま

この静けさ

浅い水は

いつもざわつく

流れが

深くなったときだけ

水面が

平らになる

音が消える

まだ

流れていない

でも

止まってもいない

その状態

その深いところに

わたしはいる

すべてが

整ったあと

ここから

どんな流れになるのか

音が鳴るのか

鳴らないのか

それは

分からない

ただ

いまは

この静けさを

存分に

感じていたい

自分の中にある

泉の水面を

眺めながら

この美しい

“漆黒の青”の世界を

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