相手の親から
“お嬢ちゃん”
と呼ばれていた
“名前を呼ぶ
価値もない子”
あの家の中で
わたしは
“存在”として
扱われて
いなかった
そこに
“いる”けど
“いない”存在
20歳になるか
ならないかの
女の子を
捕まえて
いい年をした
大人たちが
一体何を
しているのか
今なら
その異様さを
はっきり
断言できるのに
あの頃の
わたしは
自分の命を
守るために
ひたすら
耐えるしかなかった
相手の
母親から
わたしは
認められなかった
この事実は
相手の根幹を
大きく揺さぶる
ことになったと思う
相手は
母親を恐れていた
自分を
認めてほしい
そんな思いが
痛いほど
伝わってきていた
その母親に
わたしは
“できない子”の
烙印を
押されてしまった
それは
“できない子”を
選んだ相手にも
“できそこない”の
烙印を
押されたことを
意味する
あの時の
愕然とした
相手の表情を
今でも
覚えている
ことごとく
わたしは
相手の期待を
裏切っていた
自分の
育ってきた環境と
違いすぎていた
なぜ
あんなに
親の顔色を
うかがうのか
なぜ
今の
自分の職業を
選んだ理由が
“親とは違う仕事だから
戦えると思った”
なのか
自分の
人生の目標に
なぜ
“親を越えること”が
入っているのか
わたしには
理解できなくて
不思議だった
わたしも
自分の親のことは
もちろん
尊敬している
でも
“親を越える”とか
“上下”の意識が
そもそも
わたしの中には
存在していなかった
だから
そんな風に考える
発想自体
持ち合わせて
いなかった
相手の中で
親の存在が
偉大すぎて
高い壁と
なっていた
でも
今なら
その理由も
よくわかる
相手が
わたしを
“できない子”と
扱ってきたように
相手も
親から
全く同じ扱いを
受けてきたのだと
“優劣”
“上下”
たった一度の
失敗も許されない
評価と比較で
成り立っている世界
相手は
そんな世界で
いつ
死刑宣告を
受けるか
分からない
恐怖と
戦いながら
生きてきていた

