「あいだの手前」

目が覚めたら

涙が溢れてきた

本当に

突然

夢を

見たわけじゃないのに

すると

過去に

ひとりで立っていた

自分の姿が

頭をよぎった

あの頃のことを

思い出した涙だったのか

でも

なんとなく

「終わり」を感じさせる

何の?

何かの区切りが

ついたような

そんな

終わりの予感

過去のあの光景が

また

目に入ってきた

その瞬間

わたしの胸が

激しく揺れ動いた

これまでなかったから

久しぶりで

強く反応したのか

理由は分からないけど

見たくないものなのは

確かだった

そして

その構図を作っている

相手に対して

苛立ちが込み上げてきた

「ここに来ても

 まだ

 わたしを苦しめるの?」

自分が何に対して

涙を流しているのか

相手の選択が

自分の期待したものと

違っていたのかもしれない

もう

これで

終わりなのかも

わたしは

「また」

期待してしまったのかもしれない

これで

何度目だろう

どんな結果でも

大丈夫だと

思っていたけど

さすがに

もう無理かも

これが

本当に最後なんだ

だって、

わたしは

もう限界だ

これ以上

ここに立ち続けることは

できない

待たされる自分に

戻ることはできない

わたしは

もう

傷つきたくない

だから

終わりにしたい

踏み出せないのなら

仕方がない

わたしも

迎えにはいかない

それだと

交わらない

それだけのこと

すると

だんだん

腹の底が熱くなってきた

わたしの中から

一気に溢れ出てくる

「いつまでもグズグズして

 馬鹿じゃないの?」

「曖昧な空気を作るなって

 言ったよね?」

「もう、嫌なのよ」

口の悪い自分が

怒りと

一緒に出てきた

わたしは

理解のある

大人なんかじゃない

わたしだって

怖いものだらけだ

できるのなら

子供みたいに

目の前で泣きわめいて

文句を

全部ぶつけてやりたい

「いい加減

 はっきりさせなさいよ」って

わたしの

本音が出てきた

ずっと

「大人のわたし」が

抑えて

調整して

溜め込んできた

怒りの感情

それが

ぜんぶ排出された

そしたら

目の前の視界が

広くなった

とても

スッキリしている

あんなに

激しく揺れて

ぜんぶ終わりにする

勢いだったのに

そんな気持ちが

どこかへ消えてしまった

わたしは

過去のあの構図に

傷ついてきた自分と

期待しては

また傷ついてきた自分から

卒業した

そのための

最後の揺さぶりと

涙だった

新しい自分は

自分を傷つける場所へは

戻らない

いま

さよならした

怒りを

出し切ったら

静けさが残った

無理に決めて

終わらせたわけじゃない

選択した感じがない

怒りで切ったわけでも

意地で閉じたわけでもない

もう

その場所に

自分がいられなくなっただけ

強がりでも

覚悟でもない

気づいたら

前とは

違う場所に立っている

ここは

また

「あいだ」の場所

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