相手と出会った頃の
わたしは
人生最大
と言っても
大げさではないくらい
どん底にいた
過去に病で
自分をコントロールできない
時期はあった
あのときも
これ以上
苦しいことはないと
感じたけれど
別の種類の
苦しさの中にいた
八方塞がりだった
何ひとつ整わず
荒れた状態のまま
一か所に押し込められた状態
日常をこなすことに
精一杯で
深く考える余裕もない
未来のことなんて
1ミリも考えられなかった
数年ぶりの
夫との同居が始まって
1年以上が
経ったころだった
始まる前から
すでにわたしの心は
凍っていたから
毎日が
恐怖だった
怖いから
顔を合わせないように
避けていた
寝るときは
何度も
部屋の鍵を確認する
それでも
安心して
眠ることはできない
緊張は
頂点に達していた
心も身体も
とっくに
限界を越えていた
わずかに残った気力だけで
生きていた
さすがに
二度目はまずいと思い
病院へ行くと
病名がついた
それを聞いても
驚きも何もない
「やっぱりね」
くらいにしか
感じなかった
すべてが
行き詰まっていた
薬が必要なほど
心と身体は
悲鳴をあげているのに
わたしには
安心して
休める場所がなかった
自分のこと
家庭のこと
子どものこと
何の嫌がらせなのかと
思うくらい
一気に押しよせてきた
さすがに
抑えるのが無理になって
泣き崩れたことがある
それでも
夫には
何も聞かれなかった
息子だけが
いつも隣にいてくれた
子どもたちの存在が
いつもわたしを
正気に戻してくれていた
真っ暗闇で
出口も見つからない
ここから
どう動いたらいいのか
わたしはこのまま
これからも
こんな風に生きていくの?
そんな考えが
頭に浮かぶように
なってきていた
でも
それはまだ
ほんの小さな声
わたしには
聞こえていなかった
誰かや
何かのせいにして
不平不満を言うのは
簡単だけど
それが
好きじゃなかった
その代わり
自分のことは
何倍も責め続ける
病気になったのも
離れて暮らすことになったのも
わたしが
「弱かったから」
夫婦関係に
亀裂が入ったのも
わたしの努力が
足りなかったから
そうやって
ひたすら自分を
責めていた
毎日恐怖に怯えながら
生活していても
それでも
自分に非があると
避けているのは
自分が悪いからだと
どこを取っても
見事なくらいに
自己否定と
自己犠牲の
るつぼに陥っていた
誰かを責めても
自分を責めても
何も変わらない
糸はますます
絡まるばかり
どうすれば
出口に辿り着けるのか
ある時
わたしの中で
限界を自覚した
瞬間があった
もう
これ以上頑張れない自分を
悟った
すると
何かが
切れる音がした
「誰か、助けて」
声に出して
小さく呟いた
そのとき
わたしの脳裏に
一瞬出てきた
顔があった
あのとき
わたしは
相手の存在を
「自分と関係のある人」
と無意識で
静かに位置を変えた
もしかしたら
この出会いは
偶然ではないのかもしれない
自分の中に
小さいけれど
確かに芯のある
「何か」が
輪郭をもった瞬間だった

