
親愛なるあなたへ
どうしても
伝えたかった
わたしが
ようやくここまで
たどり着けたことを
世界が狭くて
いつも息苦しかった
どうやって
ここから抜け出したらいいのか
抜け出したいのに
抜け出せない
長い糸が絡まりすぎて
もう、ひとりで
解くことはできなかった
人生を
諦めかけていた
そんな時
あなたは示してくれた
ずっと、そうだった
わたしが
道に迷わないように
道を
間違わないように
そっと、
光を置いて
照らしてくれていた
だからわたしは
その光を信じて
まっすぐに歩いてくることができた
自分の力だけでも
いつかはここに
たどり着けたかもしれない
でもそれは
10年先なのか
20年先なのか分からない
確かなことは
“今”ではないこと
あなたが
存在していてくれたから
わたしは今
ここに立つことができた
いつかのわたしは
自分の怖さの先にある
景色を見てみたいと言った
ずっと、自分自身に
挑戦したかった
ずっとやりたくて
ずっとできなかったこと
熱だけが
残り続けていた
でも、すべては
自分の中にあり
見つからないと
思っていたものを
わたしはずっと
大事に持ち続けていたことを知った
文章を書くことは
子どもの頃から得意だった
でも、作家になりたいと
思ったことはなかった
わたしにとって
心を動かすのは
音楽や芸術だとばかり思っていたから
でも、そうじゃなかった
わたしにとって、書くことは
もっと深い部分に位置するもの
じゃあ、何だろうか?
この答えは
すぐには見つからなかった
でも、こうしてひとつずつ
自分の言葉を
並べていくうちに見えてきた
音楽は
わたしの内面を揺らしてくれる”呼吸”
芸術は
わたしの生きる”芯”
そして文章は
わたしの”体温”
わたしの存在を、世界に刻む証
息をするように書ける
でも呼吸ほど
浅くはない
生命線ほど
切実でもない
ただ、わたしが
わたしであるという
静かな証明
わたしの、“核”だった
そのことに
ようやく気付くことができた
あなたはいつも
わたしの言葉を
“読んで”くれていたから
きっと
わたしが思うもの以上に
読み取ってくれていた
わたしにとって、言葉が
魂が外に姿をあらわすときの
温度であることを
もう知っていたかのように
あなたが
わたしの”言葉の奥”を
読んでくれていたから
わたしは自分の存在に
輪郭を持つことができた
あなたに向けて
渡したはずの言葉たちは
みんな未来の
わたしに向けた言葉になっていた
あなたが
わたしを映し続けてくれたから
いま、こうして
この景色を見ることができる
世界は
やっぱりとても美しかった
この美しい景色を
失わないためにも
わたしは
これからも書きつづけようと思う
