相手との「再会」がありそうな予感は
いつもあった
自分の気持ちも
流れている空気も
少しずつ変化する
目の前に
何かが流れている気がする
再会の流れが始まる
これも
何度も繰り返してきた
はじめは
ただ「緊張」しているだけだった
するとそこに
「怖さ」が加わっていった
でもその奥にある「確信」は
変わらなかった
そしていまは
「怖さ」も「確信」も両方持っている
再会の予感はあるけれど
一度も成立したことはない
いつもわずかな重なりか
綺麗なすれ違い
あと「数ミリ」が足りなかった
その数ミリのすれ違いのたびに
わたしは
自分の中にある未消化のものを
洗い出していた
相手に怒りを感じても
相手の嫌なところを自覚しても
それでもやっぱり一緒にいたい
その気持ちに戻ってきていた
数日前
突然大きな不安に襲われた
「もしまた、来なかったらどうしよう」
「何の変化もなく、終わってしまったら?」
不安はどんどん大きくなる
わたしの中には
お互いのつながりに強い確信がある
それでも
過去の記憶が
わたしを揺らしてくる
「また、一人になったらどうしよう」
あのときの自分とは違うのだけれど
身体が覚えている
もし何もなかったとしても
それは
まだ、その時ではなかっただけ
わたしたちのつながりが
なくなるわけじゃない
この再会前の揺れは
それを分かってはいても
何よりも強く
わたしを揺さぶってくる
不安定な状態から抜け出したくて
何かにしがみつきたくなる
ここで新しい気づきがあった
わたしは過去の経験から
相手が来ないことを恐れている
では相手が怖いものは
何なのだろうか
これまでは
自分が一歩を踏み出すことを
怖がっているのだと思っていた
でも実は
それだけじゃなかったのかもしれない
わたしはいつも
すれ違うたびに
相手を切り離す手前まで
深く揺れていた
たいてい
「怒り」を見せていた
そのわたしの反応を見てきた相手は
自分の行動で
わたしが「切り離してしまう可能性」
そこを怖がっていたのかもしれない
お互いずっと
交差できなくても
それでも
「切らない」で向き合ってきた
それは
恋愛とか想いとか
ふわっとしたものではなく
「切らないという在り方」だった
わたしは最後にまた
相手と共に在る自分に戻ってきた
そのとき
相手に条件を提示した
相手はいつも必ず返してくれていた
でもそのときは
まだ何も見えていなかった
小さなそれらしい反応はあった
でもそれは
わたしが求めたものじゃなかった
あの日
相手は姿を現さなかった
わたしの中で
タイムリミットの音が鳴った
わたしの心は
何も変わらなかった
少しの間
頭の中が空白だった
涙も胸の痛みもない
崩れていない
あったのは
「安心感」だった
相手が来なかったのに
わたしは安心していた

花祭りの日
わたしは相手から
最高のギフトを受け取った
わたしが提示した
条件の返答だと分かった
でもそのギフトは
「わたしのため」に用意したわけじゃない
もっと前から
自分のために用意していたもの
けれどきっと
何かが完全に定まらない自分もいた
そこにわたしが
言葉を提示したことで
その用意していたものに「意味」が乗った
ひとつの「選択」が
「自分の在り方」に変わった
お互いの流れが合流した瞬間だった
わたしが提示した後
相手の空気が変わったと感じていた
少しずつ
自分の在り方を形にしていた
だからあの日
相手は来なかった
これまで
どんな状況でも
必ず相手は何かを「示して」いた
それが
あの日はじめて
「何もなかった」
それが相手の「意思」だと
受け取った
これまであった
相手の「曖昧さ」が
ここで消えた
だから会えないのに
わたしの心は
軽かった
相手は自分の思いを言葉にするのが
苦手だった
男性性と女性性
どちらももっている
深く感じることもできて
行動したい衝動も持っている
でも
感じたことをどう出せばいいのか
分からなかったのかもしれない
だからわたしの贈り物を
言葉ではなく
「使う」ことで表現したり
プロセスなしの
一点突破で一気に行動で出したり
反対に
自分の領域だと
一気に強さを見せていた
行動はできるけど
言葉は苦手
これが相手だった
わたしは
感情をまず言語化する
そこから構造化して
共有する
でも相手は
感情をまず溜める
そして不安定だけど
感情が溢れた時に
行動で出していた
処理の仕方が真逆だった
相手は言葉にできないだけで
感情はずっとあった
わたしは
言葉以外のものを鵜呑みにすることは
思い込みになるから
感覚では分かっていたけれど
確定しなかった
現実を見続けていた
だからすぐには
相手の気持ちを受け取りきれなかった
でも自分の直感を信じすぎずに来れたから
観察と体感を
積み重ねることができた
そのおかげで
いま、地に足がついた確信を得ている
相手はずっと
不器用な本気を見せてくれていた
けれどわたしは
言葉で確かめたかったから
本気なのかが分からなかった
でもいまは
言葉じゃない形でも
受け取れるようになった
わたしの在り方が変わった
相手の本気と
わたしの確信が
ずっとすれ違いを生んでいた
それが一本の線につながった
相手の行動を翻訳できるようになって
相手の本気として
読めるようになった
二人で
反対の方向から
同じ場所に向かってきた
表現の方法が逆だから
すぐには繋がらなかった
でも一緒に頑張ってきた
どちらかだけが頑張っても
再会は起こらない
同じものを持っているもの同士だから
交差できる
再会前は
いつも緊張していたけれど
いまはなくなった
わたしは一度
似た空気を体感したのかもしれない
その日
わたしはパールのイヤリングを付けていた
目が合った瞬間
自然に距離が縮まって
引き寄せられるように近づいていった
何も決めていないのに
考えるより先に
体が動いていた
相手はふと、視線を落として
わたしの耳元を見た
そして何かを言いかけて
そのまま言葉を止めた
あのとき何が起きていたのかは
うまく説明できない
でも言葉にならないものが
そのままそこに出ていた気がする
あれがきっと
再会の空気

二人で自然に
呼吸を合わせるように
流れをつくる
わたしの目の前には
帯状の薄い白色の層が流れている
糸でも紐でもない
太くて平たいもの
ずっと遠くまで続いている
その先は
相手につながっている
わたしの隣にいないのに、いる
ずっとわたしの中に、在る
相手が来なかったあの日の夜は
激しい雨が降っていた
まるでこれまでの自分たちを
洗い流すかのように
あの日わたしは
これまでと「同じ」行動を取ることで
自分自身の過去の構図
「一人で待っていたわたし」を終わらせた
相手は
これまでと「違う」行動を取ることで
「曖昧につながっていた自分」を
終わらせた
ちゃんとその自分も
未来へ連れていくために
回収した
わたしはあの日
相手に渡せなかったプレゼントたちも
一緒に持っていった
これも未来へ連れていくためだった
再会のとき
新しいわたしたちが
出会うとき
ようやく会える
プレゼントと笑顔と共に
わたしはあなたに会いに行くから
「おかえり」と「ただいま」
この言葉を交わす
その瞬間に

