「わたしの光」

生き方を

変えていく中で

わたしは

自分がつくりたいものの形を

見つけた

それは

ある日突然「つながった」

相手と接する中で

揃ってきたピース

それを並べたり

組み合わせたりしながら

色々な角度から探していた

やりたいレッスンの形が定まり

そこから

霧が晴れ始めた

わたしは

その人の内面にあるものが

ビジョンとして

見えるような感覚がある

特別な能力があるわけではなく

その人の表情や目の奥の動き

首の角度

動かすタイミング

そういったものから

繊細に受け取っている

自分の内面にも

それは現れている

自分の心情や動きの変化に

同調するかのように

音楽や映像が

頭に流れてくることがある

あるときから

ミュージカル「ファントム」の映像が

ずっと流れていた

包み込むような音楽にのせて

「その仮面の下にある

 本当のあなたの姿を見せて」

歌うクリスティーヌ

その歌声に心動かされて

自分の素顔を見せようと

エリックは仮面を外す

この作品の

大きな転換点だ

クリスティーヌは

エリックの素顔に恐れ

その場から逃げ出す

拒絶されたエリックは

失意の底に落ちる

この場面が

何度もわたしの中で

繰り返されていた

そしてある瞬間に気づいた

「これは、わたしだ」

クリスティーヌではなく

エリックの方が

自分と重なった

「本当の自分の姿」

そのわたしは

どんな姿なのか

わたしが本当に求めていることは

一体何なのか

わたしは

何をつくりたいのか

エリックは

ずっと素顔を見せられなかった

顔に傷があったから

だから陽の当たる場所に出ることなく

ひとり

地下で生きてきた

誰にも見られないよう

触れられないように

でもクリスティーヌの歌声に

出会ってしまった

彼の心は揺れ動く

孤独でありながら

音楽とともにあった

彼の姿が

わたしを揺さぶった

クリスティーヌに去られて

一度は愕然としたエリックだけれど

最後は

クリスティーヌの腕の中で

素顔を見せ

安堵して眠ることができた

彼は「自分を見せたかった」

本当の自分の姿を

誰かに見てもらいたかった

「わたしもだ」

すべてがつながった

ファントムも

オペラ座が舞台だけれど

わたしがどうして

舞台の光に心動かされていたのか

「自分自身を見てもらいたかったんだ」

何を描くのか

ずっと見つけられなかった

それを

ようやく

見つけることができた瞬間だった

それは

自分で創り出した物語を書くことでも

既存の作品を土台に

何かを創ることでもなかった

「わたしは

 わたし自身を描く」

自分の光を

とうとう見つけた

全身に鳥肌が立った

ずっと

ずっと探していたものは

これだった

わたしは

「表現者」になりたかったのだと

やっと気づいた

笑ってしまうくらい

過去の自分が

綺麗に一本につながった

ずっと

自分を小さくして

押し殺して生きてきた

本当は

何かに隠れたりしないで

堂々と自分の光を出して

輝きたかった

それができなくて

何度も

何度も苦しい思いをしてきた

自分の居場所を

求め続けてきた

それもぜんぶ

いまここから始めるためだった

わたしが

自分の光を輝かせるには

あの葛藤の数々が

必要だった

あのころは

舞台芸術以外の形が

見つけられなかった

でもいまは違う

時は流れた

総合芸術は

舞台以外でも作れる

「わたしは

 自分のオンライン美術館をつくる」

わたしの光が

形になった瞬間だった

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