「自分との距離」

夫は安定感のある人だった

結婚相手として

理想的な人だった

自分の中心を失って

足元がぐらついている

わたしに

夫は魅力的に見えた

きっと

この人と結婚してる

この直感に

間違いはない

でも外側は厚く

安定した壁があるのに

内側は

空洞になっている

自分の深い部分には

触れていない

この自分には

気づいていた

けれど

それは不安とは違った

だから

自分でもその正体が何なのか

分からなかった

夫とは

遠距離だった

だから

ゆっくり

時間を過ごすことができない

けれど

わたしは

急かされるのが好きではなかった

なんでも

自分のペースで進めたい

突然何かを

その日に言われたり

急に予定変更されることも

苦手だった

大きな音や

激しい動きが

苦手であるように

神経が過剰反応してしまう

だから

前もって準備して

動きたいタイプだった

そうでないと

急な緊張で

苦しくなってしまう

それなのに

結婚が急に決まってしまった

突然の変化に

毎日が目まぐるしく

洗濯機の中に入っているような

感覚だった

自分の本心なんて

とっくに見えなくなっていた

わたしは結婚したいのか

この人と結婚したいのか

そこを深く見ないまま

流れてしまった

それでも

夫との結婚は

間違いではない

ただ

自分の意思で選んだのか

そこを問われると

即答できない自分がいる

舞台の仕事から

離れると決めたのも

結婚することも

遠く離れた場所に行くことも

自分で決めた

外側の

自分が決めた

外側の自分と

内側の自分

乖離していた

二人の自分が

この時から

ますます離れていくことになる

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