結婚が決まるまでは
まだ知り合って間もなかった
結婚が決まってからは
もう準備が始まっていた
お互いについて知る
そんな時間が
持てなかった
自分の中に
整理されていない
未完了のものが
積み重なっていく
一人じゃないはずなのに
一人になってしまう
なぜか強い孤独感に
襲われていた
結婚をしたというより
嫁いでいった感覚だった
家族という
大きな枠の一員となり
個人として
見られている気がしなかった
夫は一緒に何かをすることは
得意ではない人だった
わたしも
一人は好きだけれど
共有することも
大事だった
だから
とにかく話がしたかった
でもなかなか
深い話ができない
もうわたしの心は
不安定だった
わたしたちは
お互いのことを
ほとんど知らない
話をしないと
知り合えない
これが
わたしの認識だった
けれど夫は
そうは思ってなかった
結婚したことで
安心しているように見えた
わたしのことなんて
ほとんど知らないはず
わたしが何を好きで
どんな生き方をしてきたのか
いまどんな気持ちを
抱えているのか
それなのに
もう
知っているかのような空気
そこにいるだけでいい存在
いるのが当たり前な存在
わたしに
興味を持ってくれている感じが
しなかった
これから時間があるから
焦ることはない
そう思っていたのかもしれない
でも
あのときのわたしは
急激な環境の変化で
心が不安定だった
周りに頼れる人もいない
対話を求めていた
そこが
うまくかみ合わなかった
時間の流れが解決してくれると
期待したけれど
無理だった
わたしたちは
そもそも前提が違った
夫は結婚を
枠として見ていた
家族という枠の中に
自分たちを置くこと
それが夫にとって
安心な結婚の形だった
でもわたしは
個として
関係を築きたい人間だった
関わりや言葉がないと
存在に触れられていない気がして
孤独に陥ってしまう
構造に属していることと
個と個が触れ合うこと
関係に求めているものが
まったく違っていた
家族という温かい言葉に
一人孤独を感じていた
夫との間に
個人としての土台が
まだ作れていなかったから
選んで入ったわけではない
気づいたときには
すでに家族という
枠の中にいた
それでも
結婚は進んでいった
誰も悪くない
ただわたしは
その中では
幸せを感じることができなかった

