同じ舞台に
俳優とピエロが
立っていた
俳優は
間と
呼吸が命
表情で
物語を語る
セリフと余韻で
言葉を伝える
だから
「面白いこと言って」
「笑わせて」
笑いを
求められると
焦りと不安が
襲ってくる
どう
頑張っても
対応できない
黙るしかない
すると
今度は
隣にいたピエロに
観客の矛先が向かう
「代わりに盛り上げて」
「もっと面白いこと言って」
黙ってしまった
俳優の分まで
求められて
背負わされる
俳優とピエロ
真逆のように
見える二人
でも実は
どちらも
「場に求められた役を
全力で
引き受けてしまう人」
内側に
とても
深いものを
持っている人たち
ただ
消耗の仕方が
違うだけ
俳優は
急かされると
自分を失う
ピエロは
求められすぎると
尊厳を削られる
そもそも
ピエロは
観客を
楽しませる存在なのかな?
ううん
違う
ピエロは
「真実を語る人」
軽やかな仮面をつけて
深くて
鋭い真実を
笑いに変える人
勝手に
観客が
勘違いしているだけ
楽し気な
見た目の
イメージから
ピエロ=消費していい
ピエロ=尊厳がない
勝手に観客が
自分に
都合のいい仮面を
ピエロの
仮面の上につけて
見ていただけ
ピエロは
そんな
存在じゃない
軽快で
楽し気に見えたって
浅いわけじゃない
真実を
語れるような人が
深くないはずがない
誰よりも
深くて
傷つきやすい
勝手に期待されて
勝手なイメージで
固められてる
それでも
期待に応えようと
心を
すり減らしてる
外側と内側が
乖離してる
俳優は
間違った舞台に
立たされて
「語ること」を
奪われた
そして
黙るしかなかった
自分の
本来の居場所じゃ
なかったから
ピエロの仮面は
軽さではなく
「深さの象徴」
だから
役を降りる必要もない
無理に応じる必要もない
元々それは
ピエロの役目じゃ
ないんだから
自分で
自由に
決めたらいいの
そして
観客は
勝手に仮面を
かぶせない
「想像すること」を
放棄しちゃいけない
俳優とピエロ
俳優が黙ると
舞台は
沈黙する
ピエロが黙ると
真実だけが
そこに残る
それぞれに
生きやすい
場所がある

