「テスト」は
突然やってきた
なんの前触れもなく
いきなり
その場に立たされていた
一体
何が起こっているのかも
分からない
誰も
教えてくれない
泣きそうだけど
恐怖で
涙も声も
出ない
手足が
小さく震えて
全身が
氷のように
冷たくなっていく
息ができない
音が聞こえない
「どうするのが、正解?」
ひとは
本当の恐怖を感じたとき
涙が
出てこない
命の危機のときは
泣いている
場合じゃないから
このテストが
いつ来るか
分からないから
わたしは
常に緊張状態だった
合格点をもらえたことは
なかった
わたしは
「人として
できていない子」だった
だから
相手の理想の女性を
求められた
与えられたものを
身に着け
空気を読んでいるうちに
気づけば
相手の基準の世界で
生きていた
その世界の「普通」を
最初は
否定していた
けれど
次第に
疲れてくる
怒られないように
当たり障りなく
ニコニコ
していればいい
そうやって
抵抗する力を
無くしていった
離れて
一人になると
わたしは
立つことができなかった
呼吸の仕方も
分からない
解放されたかった
はずなのに
その場から
一歩も動くことが
できない
あんなに
必死に耐えてきたのに
ずっと
人形になっていたことに
初めて気がついた
自分の生き方どころか
存在の仕方さえも
分からなくなっていた

