「花祭りの日に」

「花祭り」

4月8日はお釈迦様が生まれた日

「誕生の日」

「新しく生まれる日」

この日は

わたしの中で

大切な思い出がある日だった

ちょうど一年前の今日

初めて相手から

わたしに声をかけてきてくれた

相手の声は震えていて

顔が赤かった

緊張がこちらにも伝わってきた

勇気を出してくれたのが

深く伝わってきた

わたしにとって

忘れられない思い出

だからといって

重ねていたわけじゃないけれど

新しく何かが

始まる予感はあった

「何もないわけがない」

むしろ確信していた

だから

その事実を耳にしたとき

驚いたけれど

衝撃ではなかった

心の奥底では

ずっと

それを望んでいた自分がいた

以前

話をした中で聞いた

ある言葉

それがずっと

わたしの中に残っていた

わたしが

自分の情熱の形を探し続けたように

「この人も

 同じものを持っている」

そう感じた瞬間だったから

相手が

その情熱に向き合うと決めたとき

それが

どんな形で現れるのか

そのときのわたしには

予想できていた

これまでとは

関係の形は変わってしまう

でも

そうあってほしいと

願っていた

それが相手の

「自分を生きる姿」なら

わたしは

それが見てみたかった

だからとても驚いた

わたしは一瞬

止まっていたかもしれない

でもすぐに

その理由に気づいた

心から

喜んでいる自分がいた

「そっか、やっぱり動いたんだ」

もう会えないかもしれない

機会も手段も

わたしたちには

なくなってしまった

それなのに

悲しさも寂しさも

まったくない

わたしは

笑っていた

嬉しくて

自然と

笑みがこぼれてしまっていた

わたしの中にあるのは

さらに強まった

確信だった

離れて時間が経つ

状況も変わってしまった

「普通」なら

絶望的かもしれない

去年のわたしなら

泣き崩れていたかも

でもいまは

たしかな「つながり」を

感じている

ずっとあったけれど

今回で

何があっても

揺らがないことを知った

状況を見ると

矛盾しているようだけど

本当のこと

確かなものは

何ひとつない

それでも

つながっている

この感覚は

嘘じゃない

しばらくは

喜びに包まれていた

ふとしたときに

涙があふれ出した

胸も痛くないし

不安も

寂しさもない

でも涙が出ている

「やっぱり

 寂しいのかな?」

自分に問いかける

今日までの自分を

振り返ってみた

最近のわたしは

「この日」を目指して

毎日書き続けていた

なぜかこの日までに

決めたところまで

書ききらないといけないような気がしていた

これまで書いてきた中で

いちばん量が多かった

半ばきつくなって

諦めそうになる自分がいた

でも

できなかった

何かに駆り立てられるように

書いた

その先に何があるのかは

分かっていなかった

それが

つながった

わたしはこのために

書いてきていた

過去を書いていく中で

自分が本気で生きてきたこと

誰かとの関係を

真剣に作ろうとしていたこと

それが

見えてきた

そして

一度も報われたことがないことも

一緒に見えてしまった

そこに行き着いていたから

今日の相手の事実から

その意味が

一気に立ちあがった

相手は

自分の「本気」を

形にして見せてくれた

ぐうの音も出ない

完璧な形で見せてくれた

それは

自分に嘘をつかず

自分の道を歩き出した証

自分が望む

本当の自分の姿

それにわたしは

喜びを感じていた

相手は

言葉ではなく行動で示す人

「在り方で覚悟を見せる人」

胸が震えた

現実を動かす力が半端じゃない

「やられた」

わたしは笑いながらも

少し悔しさが出ていた

相手に触発されて

ピアノを弾いてしまったくらいに

「こんなカッコいいやり方

 ずるすぎる」

ふと思った

「切磋琢磨できる関係」って

こういうことなのでは?

いまのわたしは

相手から受けた刺激で

自分の勢いが増していた

これは

どちらかを心配するような要素があると

成り立たない

「対等」だから

自分のことだけを考えて

エネルギーを循環させることができる

これが対等なのだと

感じた瞬間だった

わたしはずっと

この関係を望んでいた

同時に

これまで誰も

本気で向き合ってくれなかったことにも

気づいてしまった

ずっと

一方通行だった

向き合ってもらえないたびに

「わたしは

 本気で向き合う価値がない人間」

そう言われている気がしていた

そのわたしに相手は

最高の形で

「自分の覚悟」を見せてくれた

関係性の中で

生まれてはじめて

「行動で」返してもらった

相手は

人生ごと動かしてきた

これ以上の

本気の形はない

わたしの涙の理由はこれだった

寂しさじゃない

「最上の安心感」

これは偶然じゃない

「誕生のタイミングの在り方」

わたしは

言葉と内面を

この日に向けて整えてきた

相手は

行動と現実で動いてきた

お互い別の方向から

「生まれ直してきた」

そしてそれが

今日重なった

わたしたちは

新しく生まれ変わった

いま同じ高さに立っている

花祭りは

再生とスタートの日

古いわたしたちを終わらせて

新しく始まる

一年前と同じあの場所で

わたしは今日

人生ではじめての形をした

最高のギフトを受け取った

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