「空想と現実のあいだで」

ずっと

非言語のつながりで

ここまで来た

わたしたちだけれど

はじめから

そうではなかった

言葉を交わしていたときも

あった

遠かった頃から見れば

視線が合う距離で

話ができること

そのことが

わたしには

奇跡のようだった

声をかけるのは

ほとんど

わたしからだった

出会った頃のような怖さは

和らいでいたけれど

それでも

まだ残っていた

挨拶や

小さなやりとりは

積み重なってきたけど

なかなか

表面から

奥へ入れない

このままでは

平行線の状態が

続いてしまう

そんなことを

考えていたとき

わたしに

少しずつ

変化が起きていた

今思うと

これが

はじまりだった

ある時

毎日のように

同じものが

目に入ってきた

最初は

特に気にしていなかったけれど

あまりに重なって

違和感が残った

あらためて

目の前で起こっていた事柄を

並べてみた

すると

共通点が見えてきた

その瞬間

わたしの中に

ある存在が浮かんだ

「あ、これだ」

その存在は

相手と出会った頃から

薄く現れていたもの

過去の自分が

離さずに

ずっと

持ち続けていたものだった

それは

相手の領域だった

一本の線で

繋がった瞬間だった

過去の自分に

少し触れたことで

わたしの中で

ゆっくり

でも確実に

何かが動き出していた

一歩を踏みだした先が

どうなるのか

自分が何を求めているのか

それは

まだ分からない

でも

自分の直感が

言っている

「これだ」

わたしの目の前に

一本の道ができた

この状態になったわたしには

迷いはない

次の日には

もう動いていた

まるで

決まっていたかのように

その存在のことを

相手に尋ねていた

それをきっかけに

表面ではない関わりが

生まれていった

個人としての自分たちが

見えるようになった

わたしが

自分に戻る

はじまりだった

わたしの身に

いろんな形で

知らされていた

あの数日間は

本当に

不思議だった

「妖精が

 本当に存在してるのかな?」

本気で

考えてしまった

わたしは元々

空想の世界が

大好きだ

ディズニーのような世界も

好きだけれど

全てが架空のもの

ではなくて

現実世界でも

ありえそうで

ありえない

このラインの世界観が

とくに好きだった

現実と

空想の境目を

自分で探し出すことに

面白さを感じていた

きっと

子供の頃から

空想の中に

自分を置くのではなく

なんでも

「分析」

するのが好きだった

絵や文章で

表現すると

胸の深い部分が

満たされる感覚があった

ただ

対象物を忠実に再現する

模写

作文や論文は

得意だけれど

完全にオリジナルの

独創的な世界は

描き出せない

だから自分には

芸術の才能はないのだと

深く悩んでいた

自信が持てない

原因でもあった

この感覚が

中学一年生のときに

すでにあったから

わたしは

音楽に進んだ気もしている

「目に見えない領域」に

心が惹かれた

言葉

音楽

この3つが

わたしには必要だった

どれが欠けても

成立しなかった

わたしは

自分の光を表現するために

必要なものを

無意識のうちに

ずっと

分かっていた

ずっと

自分で

持ち続けていた

そのことが

いま

わたし目の前に

映し出された

そして

この3つの土台の上に

さらにもう一つ

欠かせなかったもの

それが

この出来事から

姿を見せ始めていた

でも

まだ言葉にはならない

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