「好きという衝動」

わたしの

止まっていた時計の針は

動き出した

わたしは

何のために生きているのか

外側にできた

厚い防御の膜

その膜を

一枚ずつ剝いでいくように

少しずつ

奥へと進んでいった

わたしはまた

書き始めていた

書くことも

体調を崩してから

長く遠のいていた

でもわたしから

書くことは外せない

むかしの自分が

戻ってきた

一度

すべてに蓋をして

奥深くにしまい込んだものたち

やはり

捨てていなかった

見なかっただけで

ずっとわたしの中には

残っていた

ようやく時が来たとばかりに

順番に出てくる

良い記憶ではない

でも中心には

強い衝動がある

その周りを

苦い経験や

未知への恐れが

分厚く覆っている

それでも

中心にある存在の輝きは

厚い壁を突き抜けて

わたしの心を

揺らしてくる

挫折

逃避

恐れ

未熟さ

苦くて

恥ずかしい記憶たち

当時の感覚が

鮮明に蘇る

そこに触れられなかった

でも

わたしは

何に後ろめたさを感じ

怖いと思っているのか

「わたしは

 どうして逃げたのかな?」

思い込んでいただけで

本当は

何か違ったのかもしれない

ほんの少し

そんな考えが出てきていた

何かを書いて表現する

もう自分の中で

固まっていた

ただ

何を書くのかが

定まらない

「何を創りたいのか」

自分の中にある

強い熱

自分の中で増え続ける熱を

どんな形でもいい

外に出したかった

あるとき

好きという言葉が

わたしを変えた

戸惑う自分

強く揺れ動く

自分の中に

浮かび上がるもの

ここに来るまでに

それに対して

好きと認められなかった自分には

気づいていた

理解したつもりでいた

体感がまだだった

「好きって何だろう」

「わたしの好きは、何?」

書くことは好きだけれど

少し違う

書くことは

わたしにとって

当たり前にあるもの

比較対象にならない

わたしの核

好きは

もっときらめきのある存在

ずっと恋焦がれて

でも自信が持てず

素直になれなかった

ずっと

自分の中にあり続けていたのに

見えていたのに

見えていなかった

この感覚は

恋そのもの

ようやく

気づけた

好きなものを

素直に好きと言える

自分でいたい

またひとつ

自分に戻っていく

「わたしはピアノが好き」

もう手放さない

これからは守っていく

そう決意した

瞬間だった

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