わたしの目の前には
いつも
同じ背中があった
なぜか
その背中を
追いかけないと
いけないような
そんな
気持ちがあった
「わたしが
ずっと求めていたものを
持っている」
確信に近い
直感があった
今ある
自分の状況から
救ってほしいとか
助けてほしいとか
そういった
ものじゃない
自分の中で
忘れていないけれど
忘れていたもの
それが
呼び起された感覚
そのときの自分では
理解の枠を
超えていた
戸惑って
かなり悩んだ
どれだけ考えても
答えが
見つからない
でも
確かに
感じている
それは
全く整理されていない
混沌とした中
だったからこそ
見つけられたの
かもしれない
身動きがとれない
わたしに
示された
たった一つの道しるべ
勢いまかせに
動くことは
できない
でも
心の中では
迷いはなかった
“あそこに
行かなきゃいけない”
きっともう
二度と同じことは
できないと思う
過去に戻って
“もう一度どうぞ”
と言われても
躊躇してしまう
それくらい
激しく揺れ動いた
時間だった
自分を
見失わないようにするのに
必死だった
生まれて初めての
体験ばかり
自分の行動力に
正直
自分で驚いていた
何かに
突き動かされていた
“もうすぐ掴める”
自分が
ずっと求め続けて
でも手に入らなくて
諦めかけていたもの
何度も
悔しさで
涙を流した
その存在の輪郭が
見え始めていた
“自分の人生が
動き出す”
その予感があった
制限された
世界の中で
自分から
風を起こすことは
とても
怖かった
わたしにも
背負っているもの
抱えているものがある
失ってはいけない
大切なものも
それを
傷つけずにできるのか
いつも
そこが基準だった
表面は
平静を装って
いたけど
内面は
激しく吹き荒れていた
でも
外側から
どう見られようと
関係なかった
そんなこと
どうでもよかった
そこを気にして
動かない選択を
する方が
ありえなかった
“わたしは今
人生をかけて
動かないといけない”
必死すぎて
見苦しかったかもしれない
笑われていた
かもしれない
滑稽な姿だったかも
気にならなかった
わけじゃないけど
それでも
やっぱり
どうでもよかった
笑いたければ
笑えばいい
だって
自分の人生を
引き受けるのは
その人たちじゃないから
わたしの相手は
ほかの誰かじゃない
“自分自身”
ただ一人
醜態をさらすことを
気にしていたら
絶対に勝てない
それが
分かっていた
自分から
目を逸らしちゃ
いけない
この
自分が逃げ出したくなる
状況もそう
戦いの舞台が
用意された
“必死になるべき時”
それは
待ちに待った瞬間
それが
あの時だった
背中を追って
必死に走ってきた
ずっと前にあった
あの背中は
いつのまにか
いなくなっていた
いま
わたしの目の前には
静かな景色が
広がっている
これから
わたしが生きていく世界
“鏡”として
わたしを導いてくれた
あの背中は
わたしをここまで
連れてきてくれた
もうわたしは
その鏡を必要としなくても
大丈夫な場所まで
来ることができた
ずっと願い続けていた
この場所に

