「矛盾の奥にあるもの」

相手からの最後の言葉が

何度も

頭を巡っていた

どういう意味なのか

分かるようで

分からない

進んでいるのに

何も

動いていない

少ない言葉を

何度も並べる

触れたはずなのに

交わっていない

それなのに

相手の言葉は

進行形だった

「どうしたいのか」

それが見えない

言葉の矛盾が

わたしを一人になる方へと

押していた

「前に進みたい」

区切りをつけたかった

できるなら

一緒に進みたかった

でも

それができないことが

分かっていた

わたしたちの間に

まだ線があるのなら

関係を続けることは

その線を

踏み越えることになる

わたしは

はっきりしない関係を

持てない

それなら

答えは

一つしかない

いまのわたしは

自由だ

軽くなった

ひとりで

どこまでも行ける

曖昧なものに

自分から向かうことは

もうない

ここまで来て

最後に残っていたのは

この形だった

答えは出ていた

でも

なぜか

すっきりしない

なぜ

相手の言葉が

離れないのか

これは

本当にこれまでと

同じなのか

わたしの前には

誰もいない

触れているものが

何もない

そんな感覚だった

不安はない

でも

どこか心もとない

新しい扉が見える

あの先に

次がある

行くことは

もう決まっている

でも

このまま行っていいのか

一緒に並んで

来たわけじゃない

いつも新しい扉は

ひとりで開けていた

今回も

ひとりで行くんだ

これが

わたしたちの最後の形

やはり

何かが一致しない

見落としているのだろうか

わたしは

本当に離れるのか

離れたら

もう二度と

会えなくなる

でもなぜか

その自分を想像できない

だからなのか

胸も痛くない

会えなくなるかもしれないのに

未来は見えないのに

そばにいる

「何か、矛盾してない?」

すると、一気にほどけた

そのとき

わたしの中にも

矛盾があった

それを見つけた

わたしは

自分の在り方を変えられない

だから踏み越えない

相手は

「いまは」動かない

でも、関係も切らない

そのことがわたしには

相手が定まっていないように

見えた

でもそうではなく

相手はそれを

「選んで」いた

少ない言葉の中に

相手の「意思」が

はっきりと見えた

全然

曖昧なんかじゃなかった

自分の単純さに

少し驚いた

距離が縮まったわけじゃない

説明されたわけでもない

状況は同じ

でも

わたしの中だけが

まったく違っていた

すべてが腑に落ちた

すっきりと

深い安心感

わたしは

曖昧さが嫌だったのではなく

見えていなかった

それだけだった

たとえ

曖昧に見える形でも

選ばれたものは

揺れない

あの言葉の中に

意思があった

あのとき

もし相手が

明確な言葉を出していたら

それは

相手の在り方に

反していた

その形では

きっと

安心ではなく

別の不安が残った

でも

何もなければ

関係が切れてしまう

だから

ほんのわずかに

滲ませた

気づくか

気づかないか

そのくらいの距離で

わたしはいつも

自分を守るために

離れて整えようとしていた

相手は

動かないことで

関係を守っていた

だから

わたしは戻れていた

相手は

明確な言葉は出さない

でも

行動や表情の中に

含ませていた

それが

誠実さであり

同時に

限界でもあった

それなのに

いくつもを抱えたまま

動かない

そこには

揺れない強さがあった

その動かなさに

わたしは安心していた

お互いが

それぞれを選んでいた

いまは

近づかない

わたしは開いて進む

相手は整えながら

そこにいる

だから

交わらない

でも

切れてもいない

形にはなっていない

でも

消えてもいない

言葉ではなく

別のところで

受け取っていた

それが

わたしたちの形だった

白か黒かの生き方をしてきた

でもいまは

何も決まっていないのに

満たされている

わたしは

意思が見えれば

自分も

関係も

同時に持てる

反対に相手は

関係の曖昧さや矛盾は持てる

でも自分の内側は

ひとつずつ

順番が必要だった

ズレているようで

綺麗な対になっていた

「切る」とか

「終わらせる」とかもない

区切りはつけた

でも

終わりだけど

終わりじゃない

想いも存在も

消えていない

でもそれを動かそうとはしない

消さずに

そのまま「存在させた」

いくつもの矛盾が

同時に成り立っている

そのままを見て

すべてをきちんと「在らせた」

未来のイメージは

ぼやけて見えなくなった

でもその分

余白が広がった

何も決まっていない

何も握っていない

あるのは

終わりと始まり

そして静けさ

たくさんの矛盾の中に

ひとりで立つ

そこは

純度の高い自由の場所

どちらでもない

どちらでも選べる

答えはまだない

でも

わたしの中では

決まっていた

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