「青の世界―再会の丘―」

中学生くらいのときに

ある曲に出会った

その曲が使われていた

ドラマも好きだったけれど

その曲の

「世界観」が

わたしの心を

一気に惹きつけた

何がそんなに

気になったのか

自分でも

よく分からない

ただわたしに

静かな衝撃があったことは

間違いなかった

次第にその曲の存在は

わたしの中から

薄れていく

でも反対に

何年経っても

大人になっても

消えなかったものがあった

あるビジョンが

わたしの中に

残り続けていた

それが

あの曲からきていたことを

わたしは覚えていない

当時のわたしの中では

曲とそのビジョンは

結び付いていなかった

はっきりとした形が

見えているわけでもない

ただ

「こんな世界」といった

ふんわりとしていて

漠然としたものだった

まるで

忘れさせないようにするのかのように

ときどき

それが頭に浮かんできていた

でもその曲の存在は

完全に忘れていた

それが

相手との距離が

近づき始めると

再び見えるようになってきていた

まずは

絵だけ

「この絵は何の絵だっけ?

 ドラマ?絵本?」

記憶をたどって

繋げようとしていた

少しずつ

外側の浅い部分から

相手のことを知り始めた

すると

あるピースが

はまった

相手が好きな音楽と

わたしが惹かれたあの曲が

同じだったという

共通点

なぜだろう

何だか分からないけれど

呼ばれているような

そんな感覚

きっとこれは

あの曲を知った時から

持っていた

懐かしいような

何かが待っているような

「そこに行かなきゃ」

よく分からないけど

こんな風に

思っていた

相手も

その音楽を好きだと知って

わたしの中のビジョンは

少しずつ

クリアになっていく

遠くにある丘の上に

一本の木

空には満月が

静かな光を放っている

幻想的な

青紫の世界

わたしは

その丘の上にある

木のところへ

行かなければいけない

いつからか

そこを見つめている

自分の後ろ姿が

見えるようになっていた

行きたいけれど

行けなかった場所

きっと

「その時」を

ずっと待っていた

「ひとり」では

行けないから

あの丘は

わたしたちの

「再会の場所」

わたしは

中学生のときから

ずっとその時を

待っていたみたい

こんなに美しい円が

出来上がるなんて

過去と未来が

綺麗につながった

相手は音楽を持って

わたしは絵を持って

お互いが

出会う時を待っていた

絵は

単体だと平面の世界になる

でもそこに

音が加わると

一気に奥行きが広がる

臨場感と

躍動感が出る

音楽は

形をもたない

聴く人によって

形が変わる

そこに

絵が加わると

世界観が立ち上がる

目に入る色や形が

音の輪郭を

濃くする

誰かと

共有しやすい形に変わる

それぞれ

単体でも楽しめる

世界を味わえる

でも合わせることで

また違う楽しみ方もできる

新しい角度から

世界を見ることができる

どちらも正解

ひとりだからこそ

出せる輝きがある

でもふたりじゃないと

出せない輝きもある

どちらがいいとかじゃなく

どちらも必要

半円と半円が合わさって

一つの円を作るのではなく

綺麗な円と円が

ぴたりと

重なり合う

完全な二人が

出会うからこそ

最大の相乗効果が

生まれる

平面が立体になり

目に見えない存在が

形をもつ

そうして

新しい世界が

かたちになる

それが

「共創の世界」

あの日

わたしたちは

「青の空間」に立っていた

はじめて出会ったときと

同じ場所に

生まれ変わった

二人が立っていた

あの頃の武士は

刃を外側に向けていたけれど

今の武士は

刃を納めて立っている

あの頃のわたしは

自分で自分を

傷つけていたけれど

今のわたしは

自分に愛情を向けて

立っている

新しいわたしたち

本来のわたしたち

「ひとり」では

向かえなかった

あの丘の上

あそこは

「ふたり」同時にでないと

たどり着けない場所

一緒に並んで

歩いていく

わたしたちの

約束の場所

再会の丘

「青の世界」へ

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