出会いの日から
毎日のように
顔を合わせるようになった
「顔を合わせる」といっても
挨拶や
言葉を
交わすわけじゃない
姿を
目にしていた
あの衝撃の出会いから
わたしの中に生まれた
理解不能な「何か」
その答えは
見つからないまま
すごく気になる
けれど
それと同じくらい
「怖い」
何が怖いのか
分からない
でも
怖かった
少し
怯えている自分もいた
気になるから
姿は見たい
けれど接触するのは
怖い
はじめのうちは
避けていた気もする
「近づけない」
お互いが
近づくだけで
空気が張りつめる
電気が走る
わたしは
また息が止まる
この頃は
相手から
威圧感のようなものを
感じていた
特に
何かをされたわけじゃない
でも相手の放っている空気に
わたしは
圧倒されていた
「何か、怒ってるの?」
いつも
そんな風に
思っていた気もする
だから
相手が姿を現すと
強い圧を感じた
近くを通ると
風が巻き起こっていた
不安定で
黒くて
重い圧力
怒りのようにも見える
余裕のない空気
周りを
威嚇しているわけではないけれど
「自分を奮い立たせている」
そんな印象を受けた
相手が放つ
張りつめた空気
わたしは
それに近づくのが
怖かった
いま思うと
あの頃の相手の
空気感
あれは
相手のもつ
武士の気配だった
わたしは
相手の本質的な部分を
目にしていたのかもしれない
だから
一気に引き込まれた
表面的なものではなく
自分の本質の部分を
出していたから
わたしが
近づけないほどの
強さのもの
最初に
その部分を
感じてしまったから
わたしの心は
頭で理解する前に
惹きつけられた
いつだって
わたしは
人間の本質に
反応してしまう
無意識なのか
偶然なのかは
分からないけれど
あのときの相手は
隠せていなかった
ブレーキを
踏む前だったのかもしれない
過去の経験から
わたしは人の
「怒り」の感情に
とても敏感だった
何よりも先に
察知してしまう
反射で
身体が固まることもあった
相手からも
それと似たものを感じたから
「怖さ」が出ていた
でも
それと同じくらい
「好奇心」も生まれていた
「怖い」
でも
気になる
「怖い」
でも
その滲み出ているものに
触れてみたい
舞台で役を演じる
俳優に魅かれるものと
同じものを
相手に感じていた
わたしの中で
長い間眠っていた
「感性」が
目を覚まし始めていた
相手を見ていると
わたしの中に
「色」が生まれる
なんとも言えない
独特な空気が
流れてくる
このころは
まだ
「音」はなかった
色や質感
空気や感触
視覚的なビジョンが
わたしの中に
淡く描かれるようになっていた
このときは
全然
自覚はしていない
ただ無意識でも
「美」へのスイッチは
確実に入っていた
それは
自分自身を
再び磨くことから始まり
自分の
「感性」を
解放する道筋が
おそらく
この時に
光の筋のように
綺麗にひかれていた

