まるで
そうなることが
決まっていたかのように
決まっていた出来事の
ひとつひとつに
意味があったように
感じてしまう
最近は
とくに多かった
どうやったら
この想いを
相手に伝えられるのか
動きながら
わたしは考えていた
分かっていたのは
「まだここを
離れられない」
すると
偶然なのか
必然なのか
わたしには
そこにいる理由があった
わたしのいる
この場所に
相手が来ないことは分かっていた
近くには来ない
けれど
まだここに
いなければいけない
きっと
そんな感覚だった
理由は分からないけれど
身体が
そうしていた
まるでその場から
動くことができない
魔法でも
かけられているように
足が
そこから動かなかった
いまなら
その理由も分かる
わたしは
感じていた
心の奥深く
魂の部分で
姿は見えない
声も聞こえない
でも
あのすれ違った瞬間
「同期」が始まっていた
物理的には
繋がらなかった
けれど
見えない内側では
接続していた
だから
引き寄せられるでも
呼ばれているでもなくて
お互いに
「共鳴」していた
はじめは
音の共鳴だった
それは
「空間の再会」
つぎは
言葉がなくても
視線が合わなくても
空気が触れ合った
存在としての共鳴
「存在の再会」
あの場にいることが
わたしの意思表示だった
相手が
どう動くは分からない
でも絶対に
空気に触れに来る
そう確信していた
あの瞬間
わたしたちの距離は
とても離れていた
視力がよくないわたしには
顔が判別できるかどうか
ギリギリのライン
でも
はっきりと分かった
わたしたちの視線が
重なり合った瞬間
少しだけ
時間の流れが
ゆっくりに感じられた
周りの景色が
背景になって
視界にはお互いしか入っていない
そんな時間だった
まるで
わたしがそこに立つことが
予定されていたかのように
お互い
横向きで
目線だけが重なる
離れた位置から
電気が走ったり
高揚したりといった
刺激は全くない
自然と顔を向けたら
お互い見ていた
そんな
本当に普通で
自然な流れの中で起きた
「視線の再会」
わたしたちは
あの瞬間
再会した
わたしの中で
過去の記憶が呼び起される
離れているのに
視線が合う
二人の距離が近づくにつれて
それはなくなっていったけれど
わたしたちが
接触する前の
あの頃を思い出した
まだ何も知らない
何も起きていない
あの頃のわたしたちは
自然に視線を交わしていた
あの頃から
かなりの時間が
経ってしまったけれど
お互いの意思で
視線が重なったのは
これが初めてだった
そしてもうひとつ
自分の中に呼び起されたもの
この場所
この距離
この位置に立つ
相手とわたし
この形を
わたしは知っていた
あれは
わたしが初めて
相手の姿を目にした瞬間と
同じだった

