一本の
ストリングスの柔らかい音が
静かに流れている
霧のように
空気に溶けていく
芯はあるけど
優しい音
白い空気を
たっぷり含んだ
包み込むような音色
かすかに
聴こえ始めている
このストリングスは
揺れを鎮めて
芯をつくる音
いま
こうして
自分の中で生まれた
感情や心の揺れを
表現できる場所があること
何にも邪魔されず
自分の声に
直接触れて
心ゆくまで
感じることができること
自分の中に生まれる
微細な変化を
繊細なまま
感じ取ることができること
これは
ずっとわたしが
求め続けていたもの
自分が望んでいた
自分の姿そのもの
だから
いまの自分が
ありがたくて
この世の
すべてに
感謝をしたくなる
ここまで来れたことも
表現できる場があることも
その流れごと
抱きしめたくなる
生きているあいだに
生きていることを
感じることができた
自分自身として
幸せって
こういうことなんだなって
そう感じたら
涙が溢れてきた
これは
もう
何かを求める涙じゃない
満ちてる涙
だから
弦の音が
聴こえてきた
この音が
流れ着く先にある景色
それはきっと
これから現実が
教えてくれる
いま聴こえているのは
その
前夜の音だった

