「在り方」

あの瞬間

何の反応も

しなかった自分がいた

揺れも

焦りも

高揚も

自分から

手を差し出すこと

その一手を

使わないこと

それなのに

あの時の自分に

違和感を感じていた

あれから

何度も

自分に問い続けた

何も感じていない

わけじゃない

少し

胸が痛んだかもしれない

でも

思っていた

自分の反応と

違う反応をした自分に

戸惑った

これまで

自分に対しては

「待っていない」

と言っていた

「待つ」というと

過去の自分に

戻ってしまいそうで

嫌だったから

でも

心の奥底では

「待っている」

感覚があった

それを手放すことは

自分の中で

違うと感じていた

だから

あの瞬間は

わたしにとって

嬉しい出来事

そのはずだった

だから

戸惑った

わたしは

「待っていなかった」

そこから

完全に降りていた

だから

反応しなかった

それが

何を意味するのか

少し時間が

必要だった

自分の中で

見え隠れしていた

ひとつの感覚が

確かだった

心がざわついた

自分の道を

見つけられたから

もう必要と

しなくなったのか

やっぱり

わたしは冷たい人間

なんじゃないか

そんな疑いが

よぎった

それでも

なぜか

反応できない

自分がいる

縛られている

わけじゃない

それなのに

自分から動くことに

拒否反応が出た

理由は

分からなかった

しばらくして

ひとつの問いが

浮かんできた

わたしの願いは

何だったのか

相手の幸せ?

それは

もちろんある

でも

相手が幸せだったら

それでいい

とは一度も

思ったことがない

見えてきたことは

その言葉には

上から目線な空気を

感じるということ

まるで

満たされた側から

区切られるような

距離と

完了の空気

待つでもなく

相手の幸せだけを

願うでもなく

一体何を

願っていたのか

わたしは

相手の

自分の真実に立つ姿を

見たかった

自分らしく

生きる姿

相手の主体性を

信じていた

自分を誤魔化さず

自分を裏切らない人だと

相手の

幸せ”そう”になる姿には

興味がなかった

無難に

うまくやっている

そういう幸せは

わたしの感性には

引っかからない

自分に

嘘をつかない姿

それが見たかった

“対等な存在”として

相手の生き方に

敬意を払っていた

それだけだった

切り離したわけじゃ

なかった

この部分が

ずっと

はっきりしなかった

だから身体は

中途半端な状態で

反応することを

拒否した

これは

わたしの前提条件

自分が

“誰かに向く”ときの

切り離しを

ゴールにしない

相手を

完成させようとしない

依存でも救済でもない

それでも

敬意と関心は消さない

この構造が

自分の中で

完全に輪郭を持つまで

向けることは

できなかった

自分の在り方が

言語化されて

いないまま

誰かに

向くことができない

それが

わたしなんだと

あの時のわたしは

まだ

言葉にならないものを

触れさせないように

距離をとった

それは

結果的に

切り離しの形にも見える

でも

意図は

分離じゃなかった

あの瞬間の出来事は

それを

教えてくれた

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