「空白の転換点」

空白の時間があった

自然にではなく

自分で作り出した時間

ひとつの山場が

待っていた

夫との

数か月ぶりの対面

あの空白の中で

わたしは

自分の在り方を考えていた

今回が転換点になる

予感があった

過去の自分と

未来の自分

二人の自分がいる

もう数年

夫にまともに会っていない

見事なすれ違いで

会わずに来れてしまった

たった数時間でも

会うのが怖くて

何か理由を探したり

用事を入れたり

なるべく

顔を合わせなくていい状況を

つくっていた

今回は

どうするのか

はじめは

予定を入れようとする自分がいた

でも

いまのわたしには

やることがあった

リズムを崩したくない

それに正直

時間が惜しい

自然と

動かない姿勢をとっている

自分がいた

玄関の扉が開く音が

聞こえた瞬間

わたしよりも

隣にいた息子に

緊張が走った

その姿を見たわたしは

自分がこれから

何に立ち向かうのかを悟った

久しぶりの対面

わたしは

自分の場所から動かなかった

挨拶もしない

目も合わせない

それまで通り

自分のことを続けていた

過去のわたしは

自分のこの態度に

後ろめたさを感じていた

人としてどうなのか

子どもじみた行いなのではないかと

顔を見ると

苛立ちや

嫌な感情が湧き出て

不安定な自分になってしまう

もちろん

言葉も出てこない

泣き崩れるのが

目に見えていた

だからいつも

その場を去っていた

それが

まるで自分の非を認めているようで

苦しかった

けれど

いまのわたしは

違った

まったく心が

揺れていない

自分の行動に

罪悪感も恐怖心もない

堂々と

夫の目の前で

存在することができていた

表面は

過去と同じ態度だけれど

内側が別物になっていた

自分からはいかない

感情も見せない

必要以上に関わらない

でも閉じているわけではない

これまでと

同じ線ではあるけれど

そこに

わたしの意思が乗った

子どもを不安にさせて

過去のわたしなら

胸が痛んで

きっと自分を責めていた

でも

息子の言葉や表情にも

反応しなかった

力を入れて

抵抗もしていない

ただ静かに

その言葉を聞いていた

そして

その瞬間がやってきた

夫は

わたしからのお願いは

すぐに了承する

けれど

忘れることが多かった

謝罪もなく

そのまま流されても

面と向かって

冷静に言葉を出せないわたしは

飲み込むしかなかった

今回は

先に聞いている自分がいた

案の定

夫は忘れていた

いつものように

流れそうになる

でもわたしは

正面から目を見据えて

言葉を出した

子供たちもいるその場で

何ひとつ隠さずに

空気が変わる

わたしには

緊張も怖さもない

揺れていない

反対に

夫の表情と

目の奥に揺れを見た

わたしは

自分の位置に完全に戻った

挨拶をしないのも

視線を合わせないのも

いまは必要ないと

思っていたからだった

自分の意思を

伝える必要があるとき

そのときわたしは

目を逸らさず向き合っていた

自分の位置から

動かないわたしに対して

夫は寄っては来なかった

これまでと同じ

平行線

この先どうなるかは

まだわからない

でも

わたしの意思は変わらない

もう戻らない

だから

たとえ夫が

動かない選択をしたとしても

これまでと同じ

平行線ではなくなる

わたしは

過去の自分を更新した

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