「情熱の線」

ひとつずつ

ピースが

はまっていった

頭の中に

たくさんの線が

描き出される

張りめぐらされた

線の中から

つながりを

探していた

ピアノを

再開したわたしが

のめりこんだ

きっかけは

バッハの

音楽だった

大人になって

バッハの素晴らしさを

知った

面白くて

夢中で聴いて

曲を分析していた

その

バッハの音楽が

ある曲の中に

散りばめられていることに

気づいた

ロックの中に

クラシックがある

つながりを

見つけたことに

高揚した

そして

ある曲を耳にしたとき

空気が変わった

ロックだけれど

わたしには

ベートーヴェンの交響曲のように

聴こえた

クラシックのような

重厚な柱が見える

歌い手の声の質と

使っている楽器

旋律と低音の線が

溶け合うように重なり

いくつもの層を

作っていた

「音にストーリーがある」

自分の中で

何かが動き出しているのが

はっきり分かった

うずうずと

外に出たがっている

この感覚を

わたしは知っている

「気になる」

「知りたい」

わたしの好奇心が

そう言っていた

じんわりと

自分の中に

何かが滲み出す

目に見えないのに

目に見えている

音だけなのに

映像がある

物語がある

目を閉じると

色が

形が

感触が

鮮やかに

映し出される

「感じさせる音」

これは

淡い恋の音楽なのか

悲恋なのか

それとも

孤独や夢を

描いているのか

想像が

止まらない

自分に見えている

この感覚を

何かで表現したい

その欲求が

湧きあがってきていた

言葉なのか

絵なのか

なにがいちばん

この感覚に近いだろう

いても立っても

いられなくなっていた

もうすぐ

答えが出そうだった

なんだろう

もうそこにある

見えている

でも

白いモヤで

輪郭しか分からない

思い出せ

何かをわたしは

忘れている

この感覚は

初めてじゃない

知っているものだ

わたしがずっと

探し続けてきたもの

この先に

その求めていたものの正体が

あるんじゃないか

勘違いでも

幻想でも

なかったのかもしれない

もう

止められなかった

見えかかっている

何だ?

集中して

思考をめぐらせる

少しずつ

霧が晴れていく

すると

それが姿をあらわした

「もしかして、総合芸術?」

わたしは

また再会した

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