「音の風」

ずっと

レッスンの形について

考えていた

教える

教えられるという形が

どうも

自分の中で

しっくり来なかった

わたしの

知らない形が

存在するのではないか

そんな考えが

浮かび始めた

ある記憶が

頭をよぎる

触れたくない記憶

怖い

でも

きっとこれだ

きれいに

結びついてしまった

それでも

即興演奏の世界は

わたしには

向いていない

わたしには

できない

過去の

失敗した記憶が

襲い掛かる

違う

即興を

やりたいと思ったことは

一度もない

わたしがやりたいのは

むかしからずっと

創作だけ

ふと

立ち止まる

また

わたしの中で

大きく

揺れ動き始めた

わたしは

総合芸術を

つくりたいのに

音楽は

どうやって

表現するのか

演奏技術を磨いて

曲と向き合い

自分の音を

表現する

それが

表現だと

思っていた

けれど

わたしが

求めている音楽は

それなのだろうか

言葉や絵は

自分の形と色で

置いているのに

音楽だけ

誰かがつくった形に

自分の色を

重ねているのは

少し

違う気がした

わたしが

求める音

初めて

音楽の在り方について

考えていた

自分の内側から

湧き出るものを

音にする

それは

作曲や

演奏とは少し違う

時間をかけて

つくっていくものではない

もっと

中心にあって

純度が高いもの

その人の

言葉や感情のように

その瞬間に

生まれるもの

自分の

外側にあるものを外し

本来の姿で

そこに在る

純化された音

その音から

生まれる空間

その空間の中に在るものは

ありのままの姿

その自分が発する音は

自分自身そのもの

ありのままの自分と

子どもと

一緒につくる

上下もない

比較も評価もない

同じ地面に立つ

対等な関係

すべてが

つながった

また

自分で

見えなくしていた

できるかどうかじゃない

それが必要だから

やるだけだった

技術ではなく

在り方の問題だった

わたしは

その空間に

立てる人間なのか

逃げずに

ありのままの姿を

見せることができるのか

わたしが

望んでいたのは

これだった

思い描いてきた

理想の自分の姿は

ここにあった

自由になりたかった

何にも縛られず

自分を解放したかった

自分の光を

遠くまで

飛ばしたかった

言葉と絵とも違う

音楽は

空気を動かす

空間を

つくることができる

「空間に風を起こす人」

それが

わたしが

追い求めてきた

自分の姿だった

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