「白い光の景色」

憧れていた世界に

足を踏み入れたわたしは

日々をこなすだけで

精いっぱいだった

目にするもの

すべてが初めてだった

説明はない

流れだけがある

その中で

自分の動きを見つけて

入っていく

動くしかなかった

見て

感じて

覚えていく

最初のうちは

よく𠮟られていた

大勢の前で

怒鳴られたこともあった

でも

不思議と怖くなかった

怒りには

過敏だったはずなのに

「なぜ」

叱られているのかが

明確だったから

自分の未熟さを突かれて

痛くはあったけれど

理不尽さや怯えは

まったくなかった

甘くはない

でも厳しいだけでもなかった

その奥には優しさがあり

わたし自身を

見てくれている感覚があった

「使ってもらえる人間になりたい」

どんな言葉も

素直に受け取ることができた

怒られることと

叱られることの違いを

体感した

決まった型が

あるようでない

場の空気を読んで

先読みして動く

常にアンテナを

張っていた

合図なんてないのに

誰かの動きを見て

自分も動く

そうやって

互いの存在を感じて

空間を作っていた

自分の仕事に

情熱を持ち

自分の人生を生きている

プロの人たちを目の前にして

その生き様に

胸が震えていた

思い描いていたよりも

ずっと現実的で

シビアな世界

綺麗ごとでは

生き抜けない世界だと

分かっていた

根性はある方だと

思っていたけれど

それでも

多くの人の中で生きることは

想像以上に過酷だった

世界に踏み出す覚悟を

決めてから

わたしの中で

何かのカウントダウンが

始まっていた

嬉しいはずなのに

焦る気持ちが

強まっていく

自分が望んでいた環境に

入るチャンスがやってきた

ここからは

自分の熱をぶつけて

走っていけばいい

ここに来れば

不安も迷いも

消えていくはず

そう信じてきた

でも

わたしから

不安が消えることはなかった

まるで

何かを確認するかのように

ひとつひとつを

こなしていた

自分の居場所は

本当にここで合っているのか

当時は

言葉には

できていなかったけれど

そう感じていた

ここが

求めていた世界じゃなかったら

自分がどうなってしまうのか

想像もつかない

怖くて

想像することもできない

たくさん葛藤して

悩んで

迷って

ようやく見つけた光

絶対この世界だと

確信していた

それなのに

同時に

疑う自分もいた

この矛盾が

ずっとあった

認めると

何もない自分になってしまうから

自分の中の違和感に

触れないようにしていた

事実を受け入れられる自分が

まだいなかった

でも

想像ではなく現実で

本物と対面してしまった

その時が来ている

もう逃げられない

自分を誤魔化し続けることは

できない

この苦しみから

解放される日は

来ないのだろうか

ゴールが見えたと思ったのに

目の前が

暗くなり始めている

そんなとき

白い光を見た

舞台袖から

ライトを浴びて

たくさんの拍手の中

笑顔で応えている

演者の姿を見て

言葉にできない

感情があった

「どうしてわたしは

 ここにいるんだろう」

心から

羨ましく思った

急に

足元が不安定になる

これは

過去に感じていた

嫉妬にも似ているけれど

少し違った

あの時は

行きたくても行けない

悔しさがあった

今回は

そうではない

自分の求める場所が

間違っていた

全部を通ったから

見えてきた事実

そのときのわたしには

まだ見えていなかった

ただ

わたしも

あの光を浴びたいと

胸が締め付けられた

わたしの場所は

ここじゃない

本来のわたしが

行くべき場所

あのときのわたしは

あの光の中に

それを見ていた

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