「繋がる好奇心」

一つのことに

定まらない

ずっと

これが

悩みだった

たった一つを

極めたい気持ちは

強くある

でも

意識が

一つの場所に

留まれない

そんな自分が

散漫で

浅く軽薄な人間のように

感じられた

興味の対象は

限られていた

何にでも

惹かれるわけではない

とくに

世界史は

理由も分からず

いつも

焦りを感じていた

あれは

知りたい欲求だった

その欲求が

生まれた時

一気に

吸収していく

生活すべてが 

それ一色になるくらい

のめり込む

でも

長くは続かない

どこかで

一度区切りが来る

そしてまた

別のもので

それが起こる

それが

わたしの

好奇心の形だった

一つではないから

掘り下げている実感が

持てなかった

でも

わたしは

飽きっぽく

目移りしていたのではなく

興味のある

複数のものを

順番に

深めていただけだった

舞台や

映画の鑑賞

読書の仕方

何に対しても

そうだった

感動して

涙は出る

けれど

自分が

入り込む感覚には

ならない

音楽の響きや

転調による効果

照明の色やタイミング

役者の間や空気感

哲学的な問いや

思考の流れ

そういった構造を

体感しながら

見ている

なぜ

あんなにも

世界史が必要だと

感じていたのか

なぜ

多ジャンルのものに

興味があったのか

すべて

自分の中に

素材を増やすためだった

事実と構造

これを

創作に生かすため

だから

深く知る

必要はなかった

どんな

小さな断片でも

頭の片隅に

残っていることが

大事だった

すると

創作をするとき

具体と抽象の割合を

変えるだけで

予想外のもの同士の

繋がりが見えてくる

単調な世界が

複雑になり

深さのある世界へと

変わる

一見ありえないようで

繋がっている

わたしが

つくりたいものの本質は

ここにあった

それは

見えない繋がりを見つけて

一つにすること

一つだけでは

わたしの世界は

作れない

一つの世界を

つくるために

いくつもの素材が

必要だった

だから

間違っていたわけじゃない

あの頃の自分に

ようやく

伝えてあげることができた

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