「前夜 ―zenya―」

昨日は

朝から身体が重たかった

まるで

全身に水分を

溜め込んでいるかのように

重くて

湿っぽかった

気持ちが晴れなくて

下向き気味だった

エネルギーが圧となって

自分の中に

溜まっている

外に出たがっている

この重さは

解放前の

一時停止なのかもしれない

曲でいうと

サビに入る前にできる

一瞬の間の部分

迷いも出てきた

もちろん

不安も

「こっちの弾き方の方が

 いいんじゃないか」

いまの自分に

自信が持てなくなる

間違っているような気持ちになる

そして

本番で失敗しないように

保身に走る

無難に

それらしく聴こえるように

そうすると

曲の良さが出なくなる

勢いがなくなって

小さくまとまった形

ミスは減るけど

気持ちは乗らない

「わたしがやりたいのはこの形?」

失敗したくない

でも

挑戦してみたい

葛藤が始まる

大きなミスをするかもしれない

真っ白になって

最悪止まってしまうかも

それでもきっと

保身で選んだ弾き方をしたら

わたしは

一生後悔する

すごく怖い

でも

その怖さを乗り越えないと

変われない

舞台上に

ただ一人

想像しただけで

手が冷たくなって

震える

最悪の状況ばかりが

頭に流れてくる

不安で

逃げ出したくなる

早く

この緊張から解放されて

すっきりしたい

でもそれは

踏み出さないと

得られない

それが分かっているから

ネガティブで

うじうじした自分を

そのまま受け止める

みんな怖い

わたしだけじゃない

この怖さがあるから

挑戦する価値がある

大事なのは

結果じゃない

やるか

やらないか

わたしは

踏み越えた未来を見てみたい

明日は

人生の転換点

わたしの世界が変わる

そう確信してる

人生の軸が動くのだから

怖いに決まってる

明日は

新しいわたしと出会う日

だから今日は

今までのわたしと過ごす

最後の日

舞台の先には

光があふれているのが見える

輝く景色が

わたしを待っている

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