視界に入った
その瞬間
緊張が走る
息が
できない
自分の身体じゃ
ないみたいに
心臓が
高鳴り始める
右側が
焼けるように熱い
顔を上げることも
視線を向けることもできない
初めての自分の姿に
頭が追いつかない
なぜか
涙が出そうになる
ここから離れないと
自分が崩れる
その予感
でも
逃げたいわけでも
怖いわけでもない
離れたくない
自分もいる
なんだろう
この感覚
まるで
引き寄せられるように
動けない
これは
初めてのもの
緊張と動揺が
きたけれど
わたしは
固くなっていない
泣きそうだったのも
悲しみや
痛みじゃない
あぁ
そうか
これは
出たがっているんだ
わたしの
いちばん柔らかいところが
揺れ動いている
一度は
覚悟を決めて
見せようとした
けれど
また閉じることになってしまった
無防備なわたしが
いるところ
その場所が
また開きかかっている
いまは
覚悟も決意もない
ただ
自然に
開こうとしている
あの瞬間
境界線に立っていた
動けなかったのも
顔を上げられなかったのも
違う空気を
感じてしまったから
ここを越えたら
変わってしまう
きっと
もう戻ることはできない
身体が
先に気づいていた
ここは
安心して
力を抜いて大丈夫
わたしを
傷つけたりしない
だから
さらけ出して
崩れたがっている自分が
そこにはいた
見つけてしまった
ずっと
探していた
楽に呼吸ができる
安心して
ほどけられる場所
すべてを委ねて
ただの女の子に
戻れる場所
そのままの姿で
眠ることができる場所
長い時間
緊張の中を
旅してきたわたしは
生まれて初めて
その大きな存在に
包まれていた
あのときの
わたしは
大きな安心を前に
もう
降伏していた

