第八章 感性が育つ仕組みと情操教育

目次

感性とは何か―繊細さからはじまる内側の流れ

繊細さとは

何だろうか

それは

弱さなのだろうか

少しのことで
傷つくこと

人の気配に
敏感であること

環境の変化に
影響を受けやすいこと

そうした性質は

ときに

「傷つきやすさ」や
「扱いにくさ」として

捉えられることがある

けれど

繊細であるということは

それだけ

多くのものを

外側の世界から
受け取っているということでもある

温度の違い

光の揺らぎ

空気の変化

相手のわずかな表情

誰もが

同じ場所にいても

何を感じ取り

どこまで受け取るかは
同じではない

繊細さとは

外側の世界にあるものを

細やかに
受け取る力でもある

そして

その細やかな

受け取りは

豊かな感性へとつながる
ひとつの入り口になる

ただ

細やかに

受け取ることだけが
感性ではない

外側から

受け取ったものは

自分の内側に入り

それまでの

経験や

記憶

感情と重なりながら

その人なりのものへと
形を変えていく

同じ景色を見ても

浮かぶ言葉や
感じることが

人によって違うのは

受け取ったものが

それぞれの内側を
通っていくから

それは

音になることもある

言葉になることもある

イメージになることも

動きになることもある

そうして

目には見えなかった
内側の動きが

別のかたちへと
変換され

やがて

外へと現れていく

言葉として

表現として

ふるまいとして

つまり感性とは

受け取る

↓

内側で変換する

↓

外に現れる

この一連の流れ

そのもの

感性は

特別な才能ではない

誰の中にも

すでにあるもの

人はそれぞれに

外側の世界から
何かを受け取り

自分の内側を通して

感じ

考え

何らかの形で
外へと表している

ただ

この流れが
どのように通っているかによって

見える世界も

そこから生まれる表現も

変わっていく

感性を育てるとは

外から何かを
足していくことではない

受け取ったものが

自分の内側を通り

自分なりの形で
外へと現れていく

その流れを

少しずつ
整えていくこと

受け取ったものが

静かに
自分の内側を通り

自分なりの形となって
外へと現れていく

その流れに
触れるたび

自分は

何を感じ

何を受け取り

どのように
世界を見ているのか

少しずつ

自分の内側が
見えるようになる

そうして人は

自分なりの世界を
持ち始める

情操教育とは何か―内側の構造が育つ関わり

子どもたちも

日々

たくさんのものを
感じ取っている

うれしい

悲しい

怖い

悔しい

けれど

感じていることを
自分の中で整理し

それが何なのかを
理解したり

言葉にしたりする力は

まだ
育っている

途中にある

だから

内側に生まれた

感情が

うまく言葉にならないまま
あふれることがある

泣く

怒る

動けなくなる

それは

何も考えていないから
起きているのではない

言葉になる

前のところで

確かに
何かを感じている

大人にも

言葉にできない感情が
ある

そんなとき

絵や音

言葉などの

表現に触れることで

自分では
うまく捉えられなかったものを

受け取り直すことがある

芸術が

言葉にならないものに
形を与えてくれるように

子どもにとっては

身近な大人との関わりが

その役割を
担うことがある

まだ言葉にならない
子どもの内側を

大人が感じ取り

言葉にし

受け止める

「怖かったね」

「悲しかったね」

そうして

自分の中にあったものが
言葉となって

返ってくることで

子どもは少しずつ

自分が

何を感じていたのかを
知っていく

大人の言葉は

子どもの感情を
決めるためのものではない

まだ

形になっていないものを
受け取り

ひとつの言葉として
返していく

その言葉に触れながら

子どもは

「これは怖かったんだ」

「わたしは悲しかったんだ」と

自分の内側にあるものを
少しずつ見つけていく

芸術が

言葉にならないものに
形を与え

それに触れた人が

自分の内側にあるものを
見つけていくように

大人との関わりも

子どもにとって

同じような働きを

することがある

子どもは

誰かとの関係の中で

自分の内側にあるものを
受け取り直し

少しずつ

自分で扱えるものへと
変えていく

情操教育とは

何を感じるべきか

どう感じることが
正しいのかを

教えることではない

自分の内側で
起きていることに気づき

それを
自分なりに受け取り

少しずつ
形を与えていく

その力を

育てていくこと

自分は今

何を感じているのか

なぜ
心が動いたのか

その内側に
自分自身が

触れられるようになる

そして

自分の感情に
触れられることは

他者の中にも

自分とは違う感情や
感じ方があることを

知っていくことにもつながる

そうして育った力は

自分を理解し

他者に触れ

世界との関係を
築いていくための

ひとつの土台になる

情操教育とは

単に

心を豊かにすることではない

心が動いたときに

それを
自分の中で受け取り

自分なりの形で

外の世界へと
つなげていく

その力を
育てること

心にも

目には見えない
構造がある

建物を

見えないところにある
柱や梁が支えているように

自分が感じたものに
気づくこと

それを
受け止めること

言葉や表現として
外へとつなげること

そうした

一つひとつが

心の動きを支える
構造になっていく

その構造が
少しずつ育つことで

人は

自分の感情に触れ

他者の感情に触れ

自分とは違う世界とも
関係を結んでいくことができる

情操教育とは

何かを
教え込むことではなく

「受け取る」

「内側で変換する」

「外へとつなげる」

その見えない構造を

人との関わりの中で
育てていくこと

そして

情操教育は

特別な場所にだけ
あるものではない

日々の暮らしの中で

誰かの言葉に触れ

音に触れ

色に触れ

人と関わる

心が動く

その一つひとつの中に

情操教育はある

Visual Direction & Words

Atelier soe

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