「長い夜の果てに」

あの頃の音を

浴びるように

聴いている

まるで

自分を取り戻すかのように

当時の感覚が

蘇る

自分の中に

小さく生まれた熱

情熱の芽が

顔を出し

衝動が

熱を帯び始めていた

まだ何も見えていない

でも核は生まれている

あの音を聴くと

自分の内側が

静かに騒ぎ出していた

外に飛び出したい

この内側に

溜まっているものを

何かにぶつけたい

ただ

何かを創りたい

そんな

原始的な欲求が

わたしの中に

渦巻いていた

だから

あの頃のあの音は

絶対に

自分の光を掴むと

熱が生まれたばかりの

わたしの背中を

力強く押してくれた

あれから

長い年月が経ち

再び耳にした

あの音

あの頃の

わたしにとって

あの音は

決意の音だった

でも

今のわたしには

帰還の音になった

自分の原点の音として

戻ってきた

絶対手放さないと

心に誓ったはずなのに

長い間

わたしから

見えない場所に置かれていた

それでも

それがある場所は

分かっていた

だから

姿は見えなくても

本当に失いそうになると

思わず

手を伸ばしていた

時間が経つにつれて

いつの間にか

それの存在も忘れてしまった

いつも

必ず一緒にいたはずなのに

いくつ

景色を巡っても

自分が求めているものは

変わらない

その色

その音

その感触

何年経っても

色褪せない

自分の心を

激しく揺さぶり

奮い立たせるのは

この世で

ただ一つ

あの光だけ

追い続けることが

苦しくて

何度も泣いた過去

涙の分だけ

水たまりができた

光を失い

自分自身が枯れて

初めて気づいた

あれがないと

自分は生きられないことに

あの光は

遠くにある幻想じゃない

あれは

自分自身だった

一度は

見失ってしまった

それがないと

生きられない自分に

気づくまで

長い時間

暗闇をさまよい

生きてきた

自分の命が

渇き切って

このままでは

生きられない

飢えが

極限状態になって

ようやく見えてくる

それは

新しく現れたのでも

消えていたのでもない

ずっと

目の前にあった

何ひとつ

変わらない姿のまま

自分の中に

ずっといた

ただ

鎧を着た自分では

見ることができなかった

失うのが怖くて

動く衝動に駆られる自分

傷つくことを恐れて

身動きが取れない自分

本心は見えているのに

動けない

失う怖さと

傷つく怖さが

せめぎ合う

それでも

傷つく怖さを抱えたまま

暗闇を出ると

決めたのなら

光は

何ひとつ変わらない姿で

そこで待っている

再び

それを見つけたのなら

もう

頭で考えている

余裕なんてない

がむしゃらに

掴まえにいくだけ

あれがないと

死んでしまう

今度は絶対に

手放さない

必死になって走る

カッコ悪かろうが

半人前だろうが

そんなの関係ない

いま動かないと

一生後悔する

その衝動だけ

一度で掴めなくても

それでも

諦めない

たとえ

風が吹き荒れても

冷たい雨が叩きつけても

地を這ってでも

何度でも

食らいつく

そうやって

あの光に向かって

ひたすら走る

その場所に

辿り着いたとき

光のまわりにできた

水たまりを覗くと

汗まみれで

泥だらけになった

自分の顔がある

必死に生きている

生命を吹き返した顔が

そこに映っている

ふと見ると

水たまりの中から

新しい

小さな芽が出ている

自分は

枯れていなかった

自分が生きる意味

自分の価値は

ここにあった

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