「獅子と薔薇」

一頭の獅子が

胸の奥に

一輪の薔薇を隠していた

誰にも見せず

誰にも触れさせず

壊さないように

大切なものが

傷つかないために強くなり

守るために

牙を持ち

理想を追い

一人で立つことを選ぶ

でも

本当に守っていたのは

王国でも

誇りでもなく

胸の奥の

一輪の薔薇

その薔薇は

愛そのもの

そしてそれは

甘えたい自分

誰かを必要とする自分

傷つく自分

でも獅子は

それを弱さだと思い

隠していた

けれど

隠し続けるほど

自分が枯れていく

そして

最後に気づく

薔薇を守るとは

誰にも見せないことではなかった

枯れないように

光の中に

差し出すことだったのだと

獅子の強さとは

何も恐れないことではない

傷つかないことでも

ひとりで立ち続けることでもない

本当は怖いと知りながら

それでも逃げないこと

本当は誰かを必要としていると

認めること

弱い自分を切り捨てず

そのまま連れて立つこと

守るだけではなく

守られたい自分も

受け入れること

完璧になってから

愛するのではなく

不完全な自分のまま

それでも

愛を選ぶこと

不完全な自分にも

価値があると知ること

獅子の強さとは

強さだけでできていることではない

弱さも

迷いも

愛も

すべて抱えたまま

自分の本心から逃げないこと

弱い自分は醜い

そう思っていても

その自分は

美しい薔薇の姿をしている

柔らかくて繊細

でも

弱い存在ではない

隠さなければいけない存在でもない

だって

薔薇はとても美しい

そこに在るだけでいい

けれど

光の中に出ないと

薔薇は枯れてしまう

守るために

隠していたはずなのに

だから

胸の奥に秘めている薔薇を

さらけ出したらいい

現実に置いて

初めて

薔薇は本来の輝きを放つ

柔らかい

光の中に在る

一輪の薔薇

その姿には

弱さは感じられない

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