自分を見せたい自分に
気づかずに
生きてきた
前に出たり
表舞台には上がらない
後ろから
誰かを支えるのが
わたしに合った生き方
でも
本当の自分の声は
違っていた
けれど
表現するとは
自分を見せるとは
どういうことなのだろう
はじめは
自分の内側を
形にすることが
自分を見せることだと
思っていた
でも
それだけでは
足りなかった
その作品を生きる存在は
まだ姿を隠していた
だから
作品で自己表現をしても
自分がまだ
安全地帯にいるような
気がしていた
わたしをまだ
完全には
生き切っていなかった
わたしの目指す表現は
作品を
生み出すだけではなく
自分自身も
作品として生きること
人が立つから
風が起きる
芸術を創る人ではなく
芸術を生きる人になるために
あの日わたしは
舞台に立った
空間に
風が起きるのは
そこにいる人自身が
表現だからだ
その人の在り方そのものが
芸術表現になる
その芸術を生きる自分は
どう在るのか
その問いの
先にあったのは
「わたし」という
作品を完成させるための
最後のピースだった
かつて
舞台袖から光を見て
あそこが
自分の居場所だと知った
けれど
わたしが望んでいたのは
舞台の上に立つ
一瞬だけではなかった
過去のわたしが見つめていた
舞台の世界
その世界に
生きる人たちは
舞台を降りても
自分の存在を隠さなかった
わたしが
羨ましかったのは
拍手でも
スポットライトでもない
光の中に立つ自分を
舞台上だけではなく
日常でも生きている
自分自身の在り方を
深く磨きながら
どこにいても
自分の生き方を貫いている
その姿
姿を隠さず
自分自身として
世界に立つ
わたしが
心から揺さぶられて
魅かれたのは
その生き方だった
これまでのわたしは
見てもらいたいと
願いながら
見られると
逃げたくなっていた
そして
ある時からは
人の目線そのものが
怖くなってしまった
闇に飲まれて
その苦しさから
自分を守るために
わたしは一度
自分自身を
完全に閉じてしまった
だから
わたしにとって
姿を見せることは
ただ
前に出ることではない
簡単なことでも
勇気や覚悟の
問題でもない
見られる自分を
自分で引き受けること
それは
わたしが越えるべき
最後の壁であり
わたしとして生きるための
在り方そのものだった
光の中に立ちたくて
一心不乱に
自分を磨いてきた
その中に立っても
光の眩しさに
気後れしない
自分を隠すことなく
立つことができる
その場所にふさわしい
自分になるために
前だけを見て
ただひたすらに走ってきた
でも
光の中に立つとは
舞台に立つことではなかった
わたし自身が
表現となり
作品となり
芸術を生きる人になる
それが
わたしの求めてきた
生き方だった

